クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

オーガストの楽曲制作は「ActivePlanets」でないといけないのか

皆さん、おはようございます。

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8月といえば…

そうだね、オーガストだね。

 

オーガストといえば、原画のべっかんこう氏の絵柄が人気で、コミケと同じタイミングでバンドライブ形式のコンサート「AUGUST LIVE 2016」を開催したり、翌月には新作「千の刃濤、桃花染の皇姫」の発売を控えているなど、美少女ゲームメーカーの中でトップクラスの知名度をもつも、大艦巨砲主義の作品展開をするゲームメーカーです。

今回は、そのオーガストの楽曲制作を手掛ける「ActivePlanets」について考えたいと思います。

 

ActivePlanetsとは

2006年発売、オーガストの代表作を張る作品「夜明け前より瑠璃色な」から楽曲制作を担当する楽曲制作チームのことである。実際は前年の「オーガストファンBOX」時点でそれを構成するクリエイターが集っていた。

以降、オーガストの楽曲制作担当として、作品制作に携わることになる。

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また、2013年からは所属するサイドコネクション社主催によるコンサート「トラベリング・オーガスト」を開催、楽曲の演奏や歌唱、編曲を担当するなど、その活動範囲を広げている。

黎明期~2009年頃までは、様々なクリエイターがいたが、大体は音ゲーや現役DJなど、クラブミュージック系に偏っていた印象が強かったが、2011年の穢翼のユースティア以降、ゲーム中のBGM制作は主に、sumiisan(スミイ酸)氏と小高光太郎氏の2名で担当するようになった。2013年のトラベリング・オーガスト以降は、「~オーケストラ」「~バンド」と言ったような、外部の楽器演奏者グループにも名前を冠するようになった。更に、アニメ版大図書館の羊飼いでは、楽曲制作のクレジットがActivePlanetsとなっている。

なんでActivePlanetsじゃないといけないんですか?

本題です。

なぜオーガストは、楽曲制作者のクレジットをこれにしたのか、ということです。

ブランディングのためなのか

真っ先に思いつくのはこれです。

オーガストといえば、べっかんこう氏の可愛い絵柄に惹かれる人が多いと思います。あと他にはシナリオや作中のエフェクトによる表現も評価されています。そうなれば当然、音楽にも力を入れるというのは当たり前です。

オーガスト作品の音楽は、頭一つ抜き出ているという感じは確かに覚えます。しかし、作品ごとに世界観や方向性が異なれば、その都度作品に適した楽曲制作者を招聘し、個人として紹介しても今ひとつアピールに欠けます。

そこで、「オーガストの楽曲制作者」とイコールになる名前を用意します。あとはそこに楽曲制作者を放り込めば、どんな作品を作っても楽曲制作=ActivePlanetsという表記は変わりません。そして、これを維持してヒットを続ければ、楽曲制作者の名前自体にネームバリューがつき、以降営業展開をする上で訴求力を上げる要因ともなるでしょう。

事務的な負担軽減のためなのか

上の年表にもありますが、2014年の大図書館の羊飼いのアニメ化の際には、クレジットがActivePlanetsとなっています。実際に、作中ではゲーム中のBGMを用いたシーンも有りました。

また、トラベリング・オーガストでは、「オーガスト作品に関する楽曲のコンサート」であるにもかかわらず、はにはに以前の楽曲が殆ど使われていないといったこともありました。おそらく、はにはに以前のボーカル曲はオーガストのゲーム作品で使われた曲であっても、実際はオーガストがその楽曲の権利を100%管理できていない為に使うことができなかった、権利関係をクリアできなかったと考えられます。

※第3作「月は東に日は西に」の略称

楽曲制作についてActivePlanetsというクレジットで囲うことにより、原盤保持者がActivePlanets(の所属するサイドコネクションミュージック社)に帰属することで、CD集を出したり、アニメなどのメディアへと楽曲を使用したり、トラベリング・オーガストのようなライブイベントに使用する際に、許諾申請をしやすいという利点が挙げられます。もちろん、新たに曲を描き下ろしたり、別の楽曲制作者を招く必要があるにしても、ActivePlanetsの中の出来事で解決できるので問題ありません。

アダルトゲームに出演へのダメージコントロール

この可能性もあるんじゃないかと思います。

(内容がアレなため反転またはスルー推奨)

PCゲーム出の作品がアニメ化した際に同じ声優でもクレジットが違ったりすること、某アイドル系コンテンツにおいてアダルトビデオ出演の疑惑が出たことで作品や本人への悪影響に留まらず、所属事務所を巻き込んでのトラブルに発展すると言った事例などから、アダルトメディアに出演することが実務経験とはいえ当人にとってマイナスの影響は否定できません。

特に、トラベリング・オーガスト2015でオーケストラを担った大多数は、業界とは関係ない音大の学生でした。特定の誰かに実績紹介をするならともかく、不特定多数に実績紹介をした場合、アダルトコンテンツに関わったという事実が悪いように取られ、悪評を流されるかもしれません。もちろん、中にはそういうことを気にしない人もいるでしょうけど、全てが全てそうであるとは限りません。特に、芸能関連の業界では、悪評が跳梁して仕事が来ない、いわゆる「干される」ことは致命傷につながりかねません。

それでもやっぱり引っかかるところはあります。

確かに、楽曲制作者をブランディングしておくことで、動きやすい、訴求力に繋がるといった側面はあるかもしれません。ただ、その名前のもとで実績を残した楽曲制作者の中でも、楽曲のクオリティがバラついているケースも有ります。

オーガストの楽曲制作、ActivePlanetsは素晴らしい!」という言葉は、そこに所属するクリエイターすべてを賞賛することを意味します。ただ、制作者によってその評価が変わる以上、ひとまとめで評価することは不当な評価につながりかねません。

また、「様々な音楽シーンで活躍するクリエイターが集まるActivePlanets」と紹介している一方で「ActivePlanetsのクリエイターはクラブミュージックが得意…」と、矛盾したメッセージを発していることも気になるところです。特に美少女ゲーム界隈は、なぜかクラブミュージックにアイデンティティを置く人が多く携わるイメージが強く、何か利権みたいなものがあるのでは…と思うところがあります。中身の見えない箱を作ることで、不特定のクリエイターを呼びこみ、作品制作が実績獲得のための道具に成り下がってしまうことが懸念です。

結論

ひとまとめにして評価せず、誰が音楽制作を行ったのかをはっきりすることで、はっきりとした評価を下したい。

今回の記事を制作した理由はそこにあります。

作品に関する音楽を作るのであれば、作品に沿った音楽、感情に忠実な音楽が正しく評価され、それを作った人が評価されるべきだと思います。特にそれは、美少女ゲームのみならず、テレビドラマの劇伴でも同じことは言えるでしょう。

 

なお、本記事でオーガストを批判する意思はありません。

むしろオーガストオンリー同人即売会に足を運んでくれたり、ファンのためのイベントを企画してくれる、耳を傾けていることが伺えるなど、ユーザーフレンドリーないいメーカーです。

だからこそ、微妙な不協和音が気になり、こういう記事を書くに至った、とも言えるかもしれませんが。

 

新作は購入予定ですが、人気投票やったら古杜音の独走じゃないんでしょうか…?