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クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

実績0から手に入れる実務経験、を考える

皆さん、おはようございます。

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フリーのクリエイターは、仕事の機会を得ることで仕事をし、実績となり、報酬を受け取ります。しかし、仕事を得るというのは、とても難しいもので、これが現場での実務経験があってある程度のコネクションができていればまだしも、そういうのが一切なしにフリーでの活動をするとなると、仕事の手に入れ方というのはある種本業のための能力よりも求められます。

だったら現場に入ってコネを作れば?

それができれば最初からそうしています。

特に兼業からクリエイター業を始めるという場合には、現場に入る余裕はないでしょうし、クリエイターとして就職するなどで制作現場に入るとしても、その段階で実績が求められるケースも有ります。

なので、今回考える「実績0から実務経験を手に入れること」は、特にコネもなくフリーのクリエイターとして仕事をしていくケースや、クリエイターとして就職(中途採用)するために必要な実績の獲得にはどうするべきか、それを考えたいと思います。

なぜ実績が必要なのか

実績があるというのは、仕事をし、それを完遂したという証明になります。仕事を頼むにおいて、実績がある…仕事を完遂した前例があることは、仕事を任せるという信頼を預けられるということになります。

また、携わった作品そのものがポートフォリオになります。クライアントや現場の採用担当者がそれを知っていれば、その説得力は一層大きくなります。

更に、中途採用におけるクリエイター募集には、実務経験が応募条件となることがあります。コンスタントに実務をこなしていくことで、実務経験の応募条件に匹敵する実績を証明することができるでしょう。

実績を手に入れる方法

制作現場に入る(就職含む)

一番手っ取り早いし、現場の空気に触れることで、意欲があればドンドン成長できます。但し、現場へと乗り込めるだけの技術が必要な上、そのためにコンペをくぐる必要がある、アシスタントから始めるなど、門をたたくまでが熾烈なケースが多く見られます。中途採用の場合、実務経験が条件となっていることもあります。

コンペをくぐり抜ける

勝ち抜けば実績になることが確定していますが、やはり狭き門です。

どちらかと言うと作家向け、アーティスト方面の戦略なので、ここでは扱いません。

フリーで仕事を取ってくる

後述します。

ランサー系サイトを利用する

それなりに仕事があり、獲得できれば実績を得る上、ランサーサイト上でも実績が目に見えて表示されるなど、実績が実績を産むいいスパイラルを引き起こす可能性はあります。

反面、クリエイターの買い叩き案件の横行、実績のために買い叩きに応じるなど、クリエイター買い叩きの場に成り下がっている点が懸念です。

プロダクションに足を運ぶ

プロダクションに履歴書や作品を送り、仕事を斡旋してもらうという形態ですが、仕事を振ってもらえずに終わるケースもありますし、地方の人は地方在住というだけで仕事を振ってもらえないなど、ぞんざいに扱われるケースも有ります。

 

上記方法の中で、最良の選択肢は制作現場に入ることですね。ただ、制作現場に入れるのであれば、今日クリエイターが平日昼間から彷徨い、仕事の案件に数十倍もの倍率を引き起こすような事態は起きていません。

コンペについては、実務経験を手に入れるというのであれば一点集中で臨むのもありですが、クリエイターとして生きていくのであればそれだけを目標とするのはあまりにも無謀です。

ランサー系サイトの問題点

ランサー系サイトは、それだけで食いつなぐ戦略に現実性がありません。

サウンド関連の案件ですが、以下の問題点があります。

買い叩き案件ばかり

1曲3000~5000円で作れ、歌もの完パケで2万円で作れ、1ヶ月以内に10万円で50曲作れなど、楽曲制作に対するコストを考慮していないケースばかりです。

しかもよくよく見ると、クライアントの発注率が0 / 0…つまり、楽曲制作に掛かるコストを判っていないか、ランサー系サイトで買い叩けると思った人が場当たり的に発注したケースばかりということです。

熾烈な競争

ランサーとして多数のクリエイターが登録しています。

ひとたびまっとうな案件が投下されれば、1案件につき100オーバーのエントリーはザラです。

絶対的な案件不足

仮に1ヶ月すべての案件を一手に引き受けられたとしても、その合計報酬額は、1ヶ月生活するのに必要な額に届きません。更に…

高いキャンセル率

案件が途中でキャンセルされることがあります。

特に買い叩き案件でその傾向が顕著です。

想像したよりも高い金額を突きつけられたのか、買い叩きを見破られたのか、ランサー系サイトだけで募集をかけておいて、裏では都合のいいクリエイター探しを平行していたのか…クリエイターの価値がわからないような報酬額の案件ほど、キャンセル率は高いという体感があります。それは、エントリーした案件のうちの実に5割にのぼります。

 

以上の点から、ランサー系サイトがクリエイターを買い叩く場、というイメージを拭えないかぎり、ランサー系サイトで請負い、食業とする日はやって来ません。

実績があれば仕事来るんだから安請負でも実績数を稼げば?

 (#^ω^)

nrts-creator.hateblo.jp

 

実績0から実務経験を手に入れるためには

本題に参りましょう。

こういう喩えをするのもアレですが、実績0の人に仕事を頼むということは、名も知らない個人の飲食店に入って食事をしようと考えるようなものです。

ラーメンを食べたいという時にピックアップされる要素は以下のとおりです。

  1. うまいラーメン屋の情報
  2. ラーメンチェーン店の情報
  3. 今いる場所からの近さ

順番は適宜変動しますが、この3要素は優先順位が高いんじゃないでしょうか。

それと同じことが、クリエイター業でも起こると言っていいでしょう。

実績がないということは、仕事をした証明もなく、実績で誘導するということも使えず、実績による口コミも使えないということです。その状況から実績を得るというのは、至難の業です。有名なクリエイターが仕事を得る場所があり、そこに登録しても、当然自分より知名度も実績も実力も上のクリエイターがわんさかといるため、実力陣に紛れ、仕事が落ちてくることは期待できないでしょう。

しかし、クリエイターを「食業」とする以上、至難の業という状況に打ちひしがれているわけにはいきません。

仕事を振ってもらうには…

言うだけなら簡単なので言っておきます。

実績を除き、実力のある有名なクリエイターと同じ状況を作り出せばいいのです。

実績がないゆえに呼びこむ力はありません。しかし、呼びこむことさえできれば、あとはクライアントに首を縦に振ってもらうだけです。スーパーで試食をするケースが有りますが、それで気に入ったらおそらくメーカーを気にせず買っていくだろうと思います。それと同じ状況が、戦略次第で実現可能だと思います。

 

但し、言うだけ簡単なので、その実施は簡単ではありません。

予め断っておきます。

なぜ有名なクリエイターに頼むのか

そこには有名だからという理由だけではなく、有名なクリエイターが持っている要因を無意識のうちにクライアントが受け取っているからと言えるでしょう。

有名なクリエイターに期待する要因
  • 制作能力(実力)
  • 仕事に慣れている(信頼)
  • クリエイターの個性(魅力)

つまり、実績がなくても、制作能力があること、仕事を遂行できる能力を訴求できること、魅力的なポイントをアピールできること、これらを揃えれば、クライアントが訪ねてきた際にほぼ五分の状況に持ち込むことができるでしょう。

ここでは、楽曲制作を例に出して考えます。

制作能力

制作能力は、純粋に良い楽曲を制作する能力。

但し、良い楽曲とは、演奏や録音のクオリティが高い、音質がいいといった要因に限りません。もちろんそれも必要になりますが、それ以上に必要なのは、クライアントが求める楽曲を提供できるか、にあります。オーケストラ曲を得意とする人にクラブミュージックの制作は頼まないと思いますし、逆もまたしかりです。ゲーム音楽を作りたいというのであれば、この曲はどんなゲームの、どんな状況で用いられるのかを説明できる楽曲と説明文を用意するべきでしょう。

仕事に慣れている

実力がある人に頼むのは、仕事を遂行してきたという実績があるためです。

ただ曲を作るだけという人が、果たして

  • 要望通りの曲を
  • 要望通りのフォーマットで
  • 要望通りの納期までに

納めることができると思われるでしょうか…

実績がない場合、それが可能だと思わせることが必要になってくると思います。

そのためには、制作能力の項で挙げたように、どんなシチュエーションで使う曲が作れるのかを明確に誇示すること、楽曲の納品方法を明示できること、どれくらいの納期が必要かを大まかにでも示せるなど、仕事をどう進めるのかをクライアントに理解させる事ができれば、仕事をすることに慣れているという印象を与えることも可能です。

クリエイターの個性

クリエイターに個性はいらないって言うな?…あれは嘘だ。

クリエイターはクライアントの求めるものを忠実に作らなければなりません。しかし、それができる人は同業者にはゴマンといます。同じ条件になれば、仕事の獲得に至るかどうかはクリエイターとして必要な条件以外の付随要素になります。

となれば、パワフルなアレンジができる、ストリングスのアレンジに強い、生楽器に強いといった、クライアントが魅力的だと思う要因が決め手となるでしょう。

もちろん、クリエイターの個性ばかりを強調して、クライアントの希望を踏みにじる仕事をするというのであれば問題外ですが。

 

もちろん、有名なクリエイターに頼む理由としては、クリエイターのネームバリューがクライアントの作品に優位に働くから、という理由もあるでしょうけど、今日の制作依頼を見る限り、ネームバリューが目的で仕事を依頼する案件が、全案件のうちの大部分を占めているとは思えません。

但し、これらを踏まえても、あくまでも自分のところにクライアントが来たらの話であり、それ以前については圧倒的に実力や知名度が高いクリエイター優位であることには変わりありません。

千載一遇のチャンスを掴めるかどうか

改めて書いておきますが、実績0から実務経験を手に入れるというのは至難の業です。

しかし、上のような準備は決して無駄ではありません。特に、インターネットが普及し、昔と比べて個人にもクライアントが接触する機会が増えたこと、クライアントも業界関係者以外の人が増えたことなど、実力があるクリエイターよりも先に仕事を得る可能性は十分にあります。もちろん、クライアントがクリエイターである自身にコンタクトする手段を用意しておくことは言うまでもありませんが。

ただ、実績の有無に関わらず、サイトなどの窓口を持っておけば、少なからずクライアントが制作者を求めて訪ねてくるというデータはあります。実績がない以上、こういうレアなケースで、いかにクライアントを掴んで離さないか、そこに掛かって来ると思います。

それに、有名クリエイターは、仕事が来やすい反面、敷居が高いというイメージを抱かれることもあります。業界関係者であればともかく、ただ目的のものを作って欲しいという場合は、彼らは敬遠されるでしょう。そこは実績がない人にとっては見逃せないチャンスと言えます。

 

クライアントがサイトに訪問する機会を増やす、誘引力を強める、そこから契約に結びつける…このレベルについてはクリエイターの能力を超え、全く別の要因が絡んでくるわけですが…

犠牲を厭わず正攻法で勝負するのか、戦略を練ってテクニカルに挑むのか…それは自分が得意な方法を選べばいいと思います。いずれにせよ、クライアントが声をかけてきた時に、備えがされているかは、仕事獲得の上で重要であることは、変わりありません。

 

言ったでしょう

自営業が当然 クリエイター業って。