クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

奈良県が発注したロゴ制作の件

皆さん、おはようございます。

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9月22日にこんな記事が流れてきたので、記事にしたいと思います。

 

 ロゴ制作に540万円は高すぎるのか

www.huffingtonpost.jp

 概要

奈良県が2017年の国民文化祭ロゴマーク制作に、著名なクリエイター(「くまモン」の水野学氏)に依頼し、その制作料として540万円払っていたことが発覚し、市民団体が30万円が妥当だと地裁に裁判を申し出た。

山梨県国民文化祭では、公募で5万円東京オリンピック(現エンブレム某美術館のようなエンブレムなんて最初からなかったんや!)でも公募で100万円という実例を出し、540万円という価格は高すぎると非難、また、県外のクリエイターに依頼したことや決定までの経緯が不透明である点も批判した。このクリエイターを選んだのは県知事の知り合いだからという利権的な背景も非難の要因の一つになっている。

ネットやツイッター上での意見

支払いは高すぎる・市民団体の訴訟に賛成

利権ではないのか

税金の無駄遣い

制作費にしてはありえない値段の高さ

たかが絵1枚にそこまで払う必要があるのか

支払いは妥当・市民団体の訴訟に反対

クリエイター買い叩きの典型例

制作の仕事にどれ位のお金がかかるのかを知らない

訴訟前は10万円という案が出ていて、買い叩く気満々

市とクリエイターの契約に外部が干渉する権利がない

自分としての見解

540万円というデザイン料は高すぎませんか?

 

答えは簡単です。

デザインにどれ位お金がかかるのか、なぜこれぐらいお金がかかるのかがわからないからです。サウンド制作については仕事の内容や所要時間といった全体的なコストを知っているので算出は可能ですが、ロゴデザインについては全くの素人です。こちらとしては「買い叩きになる金額を提示してはいけない」という意見はありますが、それ以上の擁護はできません。

というわけで…

ロゴデザインの相場を調べてみました。

そもそもロゴデザインとは何なのか

ロゴデザインとは、社名、イベント名、商品、サービスといったものの名称を、主に文字やイラスト、幾何学模様を使い、組み合わせて作るものです。

しかし、会社や商品の顔となるわけなので、ロゴデザインひとつが会社や商品、サービスの売れ行きを左右すると言っても過言ではありません。ロゴデザインとは、商品やサービスの行く末を担うとも言えるでしょう。

ロゴデザインについての基本相場は、安くて10万~50万、デザインが入賞した経歴があるデザイナーに依頼する場合は100万前後有名デザイナーの場合は数百万にも上る事が有ります。その理由としては、ロゴデザインには、ロゴのデザインや制作、技術力、他のロゴと重複していないかを調べるスタッフの人件費のほかに、有名デザイナーがロゴデザインをしたというネームバリューが裏ドラとして乗るからです。ネームバリューがあるというだけで売上に影響する…商業展開する以上コケることは許されない、コンテンツに対する保険的な考えがあるといえます。中には億単位の取引もあるくらいです。

参考

 

crowdworks.jp

ランサー系サイトでは、最低ライン10万を下回る料金でロゴ制作を請け負う声は多く聞かれますが、ロゴっぽい何かはできても、デザイン性のあるロゴか、実用面でのビジョンが備わっているかどうかはまったくもって不明です。特に実用面は、Webサイト用、サイズ違いの高解像度、名刺・DTPなど印刷用途など、その用途は様々で、どんな用途においてもそつなく使えなければなりません。

今回の件に当てはめてみる

それを考えると、今回依頼したデザイナーは、熊本のゆるキャラくまモン」を手掛けたデザイナー、水野学氏に依頼したことと照らし合わせると、540万円は素人感覚からすると高いと言われるのは否定しませんが、妥当な値段ではあると考えます。

但し、素人感覚からすると高い、という意見は撤回しません。

540万円は素人感覚では高い

今回、調べてみて妥当な値段だという結論は出ました。しかし、正直なところ、ロゴデザインは100万もあれば十分ではないのか、という見解は持っていました。

デザイナーがこれぐらいの値段を要求する…特にネームバリューが影響力を及ぼすことが明確なものであるロゴデザインについては、これぐらい値が張っても仕方がないとは思います。しかしそれが、すぐに「じゃあ妥当な金額だね」と批判する側の掌を返させるのは難しいでしょうし、高いと思う気持ちを否定することはできません。

これについては、ロゴデザインだけではなく、音楽制作やイラスト制作、アー写(アーティスト写真)などでも同じことが言えるでしょう。値段の規模は違いますが、仕事内容とそれに掛かる所要時間、金銭的なコストと天秤にかけても、要求される報酬額が明らかに釣り合わないケースは多々有ります。

理論武装が必要

今回、記事を書く前には「ロゴデザインはちょこちょこっとデザインしたものを仕上げる程度で、そこまでお金がかかるものなのか」という思いがありました。それは、ロゴデザインがなぜお金がかかるのか、ロゴデザインのためにどんな作業が発生するのか、ロゴデザインの使われ方とそこへの対応力は…を知らないからです。

クリエイティブな仕事では総じて買い叩きが横行している傾向がありますが、その大多数は、なぜ高い!と思うほどのお金がかかるのか、それを理解していないからです。

よくよく考えれば、仕事を依頼するクライアントの大多数は、依頼した仕事については素人です。業界のイロハのイの字すら知りません。それに対し、クライアントに対して「プロの仕事なんだからそれぐらい高くて当然」というだけの答えは、クライアントが「プライドが高い」の一言でクライアントの都合の良い解釈を押し付け、クリエイターの言い分を封殺するのとイコールです。

なので、クリエイターとしては、正当な代価を提示すると同時に、高いと言われた際には、なぜその値段が出るのか、どれだけの作業がありどれだけの時間を要するのか、それを論理的にクライアントに説明できなければ、クライアントは「じゃあ他の安い値段の人に頼む」と踵を返されますし、最初から買い叩きを目的とした交渉に対して戦えず、無用なトラブルに巻き込まれる事になります。

 

nrts-creator.hateblo.jp

今回、ロゴデザインの仕事としては妥当な金額とは言えますが、ロゴデザインの報酬額に高すぎると市民団体が裁判を起こしたことについて、クリエイターの買い叩きだと批判する声はあっても、なぜ市民団体を批判するのかをロゴデザインの仕事の観点から論的に採り上げた声は全くといっていいほどありませんでした。もし、この件についてロゴ制作の事情に斬り込んで説明する声があれば、裁判沙汰にならなかったのかもしれません。

総括

クリエイター業は好きなものを趣味でやってることの延長ではない、れっきとした仕事であり、ただ作品を作って終わりではない、ということを知るのは、あくまでもクリエイターと一部の人たちであり、大多数は素人感覚で判断するものです。

プロがクリエイターを「食業」とするには、食業に足る報酬を提示しなければなりません。そのためには、素人感覚で高い!と言われる場面について、論理的に説明し、納得させることは避けられません。もし妥協し、素人感覚でこれぐらいという価格に甘んじてしまえば、「食業」として確立できないことは、見えてくると思います。

 

…そこについては、遠からず記事にしようと思います。

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