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クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

いらすとやはイラストレーターの仕事を奪うのか

クリエイター問題(クライアントサイド) クリエイター問題(クリエイターサイド) クリエイター時事問題

皆さん、おはようございます。

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ツイッターを賑わせた記事に、こんなものが有りました。

「いらすとや」はイラストレーターの仕事を奪うのか

 

news.livedoor.com

「いらすとや」とは

このブログのトップ画像や、これまでの様々な記事のトップに使われている様々なイラスト素材を無料で使えるサイトです。商用フリーなので、営利・非営利が曖昧になりやすい場面でも臆すること無く使えるのが強みです。

いらすとや自体は、今回の話題よりも半年以上前にフリー素材サイトとしてネット上で流行したのですが、今回はそれとは別に、改めてスポットが当たったのが、この話題です。

概要

無料でイラスト素材を作り、商用・非商用問わず使える「いらすとや」が、イラストは無償で手に入るものという価値観を蔓延させ、有償で仕事を請け負う同業者に振られるべきイラスト制作の仕事自体を喪失しているのではないか。

特に今日、企業や役所の書類や印刷物に、いらすとやの素材がお目にかかる事が増え、それがいらすとやのイラストの蔓延によりイラストレーターへの懸念を抱く声が上がったのでしょう。

結論

結論から先に言うと、「いらすとや」がプロのイラストレーターの仕事を奪うとは考えにくい、ということです。

今回、いらすとやの存在がどんな脅威をもたらすと言われているのか、まずは箇条書きでまとめてみます。

「いらすとや」がもたらす懸念

  • イラストは無料で手に入るという価値観を与える
  • 本来イラストレーターに振られるべき仕事がなくなる

この2点について、吟味してみます。

イラストは無料で手に入るという価値観

ホームページやブログ、印刷物を扱う人にとって、無料素材置き場となっているサイトは使い勝手がいいものです。イラストや写真素材を作ることは、思いの外コストが高いものです。DTP用途やインターネット上に公開されるイラストを作るには、コンピュータ上でイラストを作ったり、スキャンしてデータ化するなど、決して簡単ではありません。仮にそういうシステムが整っていても、個人の技量の問題があります。それを考えれば、ウェブサイトなどで使うイラストや素材を無料で手に入れられるというのは制作コストを大幅に削減してくれるでしょう。

いらすとやが商用・非商用問わず、イラスト素材を無料で使えるという状況を見れば、たしかにイラストは無料で手に入る、イラストを作ってもらうために誰かに頼み、そのためにお金を払うことを馬鹿馬鹿しいと思う、それについては否定はできません。但し、それがイラストレーターの仕事を奪うことにはつながらないと、先に結論を申し上げておきましょう。

イラストレーターの仕事を奪う

簡単に言うと…

ある素材Aがほしいクライアントが居る、しかし、いらすとやがその「ある素材A」を持っていれば、クライアントはそれを使う。イラストレーターに「ある素材Aを作ってくれ」と仕事を振る必要がなくなる…

これが、イラストレーターから仕事を奪う理由と言われています。

しかし、果たしてそれが、イラストレーターの仕事を奪うことになるのか、と言われれば、ここまでの流れ的に、Noという答えを出します。その理由を説明しましょう。

フリー素材のデメリット

もちろん、「いらすとや」以外のフリーイラスト素材や、フリー音楽素材(DOVAとか)やフリー写真など、様々なフリー素材があります。しかし、それらが決して、有料で制作することを生業とするクリエイターの首を絞めるかと言ったら、それはないと言えるでしょう。その理由を挙げてみます。

商用NGなどの制約がある

いらすとやについては商用フリーを打ち出していますが、個人や有志でつくったフリー素材については、商用NGだったり、低解像度だったりサイズが制限されていたり、クレジットの表記が必要だったりと、細かなところを注意する必要が有ります。商用OKでも、特定の使い方はNGといったようなディップが存在する場合もあります。

欲しいものに「近似する」だけ

クリエイターの存在を排除する要因にならない最大の理由がこれです。フリー素材があっても、それが自分の求めるこれだという素材にたどり着くとは限りません。

例えば…

「庭に置く石がほしい」

といえば、手に入れるのは難しくありません。

「庭に置く大きな石がほしい」

と言うと、手に入れるのが難しかったり、石を運ぶのが難しいなどの問題があります。

「庭に置く星の形をした石がほしい」

これは探して見つかるというものではありません。外部に依頼しないのであれば、自作するか、近いものに妥協する、プランを諦めるかに落ち着くでしょう。いずれにせよ、クライアントが描いているビジョンに当てはまる選択肢は、限りなく遠いものであるといえます。

少し探せばクライアントが欲しいものが見つかるかもしれない…でも、それを見つけるまでに費やしたコスト…仕事の時間、休養の時間、体力気力…素直にお金を払って外部に頼んだほうが結果として安上がりになったというケースも多いでしょう。

あからさまにフリー素材だというのが判る

特に「いらすとや」の氾濫の様相がそれを物語っているといえます。

なぜ「いらすとや」の画像が巷にあふれている、と言われるのでしょうか…それは、いらすとやの画像だとわかる画像だからです。つまり、「いらすとや」の画像素材が便利だと使っていても、傍から見るといらすとやの画像を使っていることがバレバレです。逆に、それだけ「いらすとや」が作品に強いアイデンティティを持ち、あちこちに使われることで宣伝効果を出していると言えるでしょう。

ただ、これがプラスの効果をもたらすかというと、個人的にはそうとはいい難いと思います。

いずれは被る

フリー素材を使う人の末路と言えるでしょう。

人気のある使いやすい素材は、それだけ使われる機会が多いものです。それだけ目にかかる機会も多いものです。誰かと被るというのを嫌う人にとっては見過ごせないでしょう。

逆をいえば、オーダーメイドのメリットである

これが、イラストレーターから仕事を奪うことになりえない理由です。

また、冒頭であげた参考記事にもある通り、「イラストレーターに発注しなくても代用が利く、自作も難しくないイラスト」を、「いらすとや」は担っているに過ぎません。逆を言うと、これで仕事を奪われるイラストレーターであれば、いらすとやなどの無料素材サイトを駆逐したところで、制作の仕事を請け負うことは難しいでしょう。

 

ただ、「いらすとや」がイラストレーターの仕事を奪うとは言い難いことと、未だ蔓延を続けるクリエイターの買い叩きは別問題です。

いらすとやに追従するのもひとつの戦略とは言えるでしょうが、良いようにタダで使われて終わったり、自分に指さされて「普段から無料で作品を出しているんだから無料で作れ」と言われたりすることのないようにしてほしいとは思うものです。