VSLの専用リバーブ「MIRx」をSolo Violin2で使う方法
皆さん、おはようございます。
前回の記事で「Solo Violin2はMIRxに対応していない」と書きましたが、対処方法が確立できたので、それを記事にしたいと思います。
MIRxってなんぞ?
VIENNA社のオーケストラ音源VIENNA Instrumentsで使える、専用リバーブプラグインです。※DAWのプラグインリバーブとしては使用できません。高価なバージョンのMIR ProはDAWのプラグインとしても使えます。
拡大しないと見えにくいですが、VIENNA Instrumentsインタフェース上でMIRxを使っているところです。オーケストラの演奏では有名なスコアリングステージ、中ホール、大ホール2種の計4つを選ぶことができます。
MIRxを噛ませると、CPUの使用量は大幅に跳ね上がりますが、リバーブをまとった音と、ステージ上の配置、イコライジング、音量設定など、なかなかリアルに設定ができます。バイオリンのパッチを読み込ませると、第1バイオリンまたは第2バイオリンの設定をロードすることができ、設定を読み込ませると、第1バイオリンなら向かって左手、第2バイオリンなら向かって右手(クラシック配置)にパンニングされます。
画像はトランペット音源なので、第1トランペットの設定(中央より少し右手、舞台の中央あたりの配置)が施されています。
なぜMIRxがいいのか
オーケストラ楽器は、ほぼ全てがパンニングされて配置されています。
オーケストラ楽器とリバーブの関係は、決してモノラル楽器にリバーブをかけ、リバーブごとパンニングさせればいいということでは解決しません。特に、ストリングスセクションは、単にセンター定位をパンニングさせただけでは、どうしてもセクション間の分離が激しく、分離させるまいとするとステレオ感に欠けます。
実際のストリングス四重奏とステージの位置関係(一例)。
当然ながら、ステージの端に配置された楽器と、ステージ中央に配置された楽器では、リバーブのまとい方、反響の仕方が全く異なります。第1バイオリンの音は確かに左に居ることがわかりますが、残響をまとうことで、音源は左にあるが、残響は偏っていません。なので、各セクションが左右に展開していても、分離感無く自然にステレオ感をそのままに聞こえてきます。
第1バイオリンにプラグインでリバーブをかけ、それをパンニングさせたイメージはこちら。音源は左にあるし、残響も偏っています。
物理法則を踏まえて考えると、パンニングされて配置された音と、中央に配置された音をパンニングしたものでは、聞こえ方が全く違うのはわかると思います。EW社製のオーケストラ音源など、音源の中に専用のリバーブを内包していたり、複数のマイキングで収録された音源が、オーケストラルな楽曲制作で強い理由の1つはこれです。
MIRxを使うと、DAW上でセンター定位でも、リバーブを設定した時点で定位が定められ、ステージ上の定位に従ってリバーブが生み出されます。なので、オーケストラルな曲でSolo Violin2を使う際に、適当にリバーブをまとわせてパンニングするよりも、MIRxで定位とリバーブ間を作ってしまう方がオケとの馴染みも良く、臨場感が出ると考えます。(特にコンマスのバイオリンソロを用いる場合)
しかし、Solo Violin2でマトリクスを組んだ※はいいが、MIRxがViolin1・2の設定を読み込んでくれない…これは由々しき問題だ。
※VIENNA Instrruments上で演奏や楽曲制作に使えるようアーティキュレーションを設定すること
ではどうやって解決するのか
MIRxは、楽器のマトリクス(プリセットもしくはユーザー設定)を読み込むか、空のセル(アーティキュレーションを設定する入れ物)に楽器のアーティキュレーションを読み込ませると、自動的にその楽器の設定が導入されます。 ※設定がない楽器もあります。
これは、マトリクスを組んだSolo Violin2のマトリクス(12×3)ですが、ここの一番左下…staと書かれている2つのセルの下の方に、Special Edition1またはInstrumentsのソロストリングスに収録されている、ソロバイオリンのアーティキュレーションをアサインすることで、MIRxでバイオリン1・2の設定が選べるようになりました。別に一番左の列のセルじゃなくてもいいですが、よく使うキースイッチと同じ列に仕込んでおくと痛い目を見ると思います。
応用として、ソロビオラやソロチェロのアーティキュレーションを入れておけば、ビオラやチェロの位置に配置させることも可能になります。第2バイオリンは通常設定だと右手に配置されるので、第1バイオリンに隣接させたい場合は、ビオラのアーティキュレーションを入れておけば、ビオラの設定を読み込ませることで、ビオラのポジションでの配置設定を使うことができます。
もちろん、これはMIRxに設定を認識させる専用のパッチなので、そのセルは演奏時には使えませんし、パートごとにボリューム設定が決まっているので、別パートの位置に移動させた場合は、その分DAW側で音量調整をしなければなりません。
ただ、ソロチェロでも同じような状況と思われますし、今後ソロビオラ、ソロコントラバスが出ることを考えると、ちょっとした裏技にはなるのかもしれません。
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