クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

クリエイターの無償請負は「違法」!?

皆さん、おはようございます。

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某法律系番組で、職人のもとに押しかけで弟子入りして、「ただでいいから働かせてください」と言ってその職人のもとで修行をしたが、辞めることになってその口で「これまでの給料を払ってください」という掌返しを御見舞したエピソードが採り上げられていました。「タダで働きたいと言ったのはお前だ」といった職人に対し「それはやりがいの搾取だ!」と反論。

 

この件については、支払い義務がないという意見が多数派に。しかし、それは「無償労働でいいという双方合意の上での契約」ではなく、「伝統技能の授受」という、つまり労働ではないから労働レベルでの支払い義務がないという結論に。

大切なのはこの後。「賃金の支払い義務はない」とは言ってないことだ。「たとえ無休でいいから働かせてください」というのは、双方合意があったとしても労働のレベルではまかり通らない、と補足もされていた。

簡単に言うと…

双方合意でも無償での労働は労働契約上の違反に当たる」ということです。

無償請負とは違法労働である

ボランティアとどう違うの?

無償請負というと、まず最初に思い浮かぶのはボランティアである。

ボランティアは、得てして日本では見返りを求めない労働という意味合いで使われる事が多いが、そもそも労働という物事が「仕事に従事し、対価をいただく」行為であり、ボランティアを「無償の労働」と表現することとは矛盾している。それについては後述しましょう。

労働の意味

からだを使って働くこと。特に、収入を得る目的で、からだや知能を使って働くこと。「工場で―する」「時間外―」「頭脳―」(goo辞書より引用)

つまり、労働という言葉自体が収入(もしくは相応の物品)を得ることを目的としている。故に、「無償労働」というのは、「熱いアイスコーヒー」のような矛盾を孕んだ存在となりうるのだ。

無償労働させるとどうなるのか

以下の法律に抵触することが予想されます。

下請法第4条

買い叩きの禁止  発注した業務内容と同じまたは類似する業務について、通常支払われるべき額面よりも著しく低い額面を提示すること

最低賃金

インターネットを介する以上、曖昧な線引が多いですが、クライアントの所在地かクリエイターの所在地、どちらの最低賃金が適用されるかにせよ、無償請負はどうあがいても最低賃金を割り込むことは明確です。

労働基準法

第9条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

クリエイターは事業に使用される者であるため、労働者としての定義を十分満たすと言っていいでしょう。

無償で仕事をさせることは、労働に対して十分な代価を与えない行為であり、たとえ双方合意の上であれ、労働契約を締結する以上、労働基準法に違反する要因と言えるでしょう。

ボランティアについても考えてみる

さて、そろそろ「ボランティアだったら賃金を払わなくてもいいじゃん!」という意見が出てくる頃合いだと思います。そもそも、無償依頼をしたい側が求めていたのは「無償で仕事をさせる」ではなく「ボランティアをお願いする」ということなのではないでしょうか。

ではここで、ボランティアの意義についても考えてみましょう。

  • 見返りを求めない活動
  • 個人の善意に依存する
  • 強制力がない
  • 自ら進んで活動に参加する

クリエイターにボランティアとして制作を依頼するのであれば、無償=見返りを求めない以上問題ありません。個人の善意に依存する、自ら進んで活動に参加するという能動性が前提のため、「(善意のもとで)無料で制作を請け負います」と「仕事(労働)」を口にしない限り、これも問題ではありません。

しかし、ボランティアには無償労働にはない要因を含みます。それが、ピックアップした定義の中で説明していない、強制力がないという要因です。

ボランティアには、自発的に行動するという意味合いを含みます。それはボランティアの企画者を始め、何人にも強要・束縛されるものではありません。言い直せば、参加者個人がどんなタイミングで身を引いても問題ない、ということが保証されるということ…個人の事情が最優先されるので、家庭や本業が最優先され、それらを理由とした辞退が発生したとしても、それに対して企画者などが異議を申し立てられないということです。

もちろん、ボランティア活動中に参加者が故意に損害を与えようという意図がない限り、参加者が身を引いたことにより生じたトラブルについて、参加者に一切の責任を追求することができないということです。

総括

「無償でも仕事を依頼したんだから途中で投げ出さないでください!無責任です!」

これまで説明してきたことを踏まえれば、この発言がどれだけ矛盾だらけなものか、お分かりになるかと思います。

責任を持って仕事をさせるのであれば、労働基準法に則り正当な代価を支払う必要がありますし、ボランティアを求めるのであれば、個人の能動性を最大限尊重し、クリエイターの私的な事情に振り回されたとしても、仕事に対して責任を追求することはできません。そもそもボランティアの場合、仕事ではなく活動ですが。

もちろん、クリエイター自身も、実績を騙った無償請負、あからさまな安請負に対して毅然と断る力を持って自己防衛しなければなりません。特に、なぜこれぐらいの制作価格を提示するのか、その理由を語れる必要もあるでしょう。安請負は、仕事の相場を知らないこともその一端を担っていることが多いですから…クリエイターが適正価格を知らないとなると、クライアントが想像した、または辺りを見回して目についた価格を突きつけてくるのは必然です。

 

もっとも、報酬の不払い、Pixivなどを使った場当たり的なヘッドハントなどの事例は、すぐさまSNSで拡散され情報共有がされるご時世、未来の実績をちらつかせてクリエイターを良いように使い倒す戦略そのものが時代遅れなのかもしれません。

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