クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

携帯キャリアから見る「安いには理由がある」

皆さん、おはようございます。

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こんな話題が盛り上がっていたので、採り上げてみました。

「格安スマホ」の相談件数、去年の約3倍に

簡単に説明すると

格安料金を謳っている、いわゆる「格安スマホ」の使用者から、国民生活センターに寄せられた相談件数が、去年の2.8倍、1000件超に急増した。

その内容の多くは「問い合わせ窓口が電話窓口しかない」「故障中の代替え機貸出などのサポートが悪い」などといった、大手キャリアでは当たり前のサービスがない事によるものが大半だった。

参考:日テレニュース24

 

これにはいろいろな意見があると思いますが、個人的な意見から述べると…

格安には格安でもやっていける理由がある

これに尽きます。

考えてみるとわかるのですが、格安スマホ「業者」なのですから、彼らがやっていることは「事業」です。事業ということは、サービスや商品を売って、経費や従業員への給与を支払うのに十分な利益を上げなければなりません。

つまり、格安スマホ事業というのは、大手キャリアの使用料金と比べると大幅に安いのですが、大幅に安くしても事業者としてやっていける理由があります

単純に考えると、大手キャリアとの金額差だけ、安くしても問題ない…ランニングコストが低いということです。ランニングコストが低いというと、経費削減という良いイメージがありますが、経費削減で半分以下にできるぐらいコストを削ぎ落とせるわけがありません。つまり、大手キャリアが持っているものを持っていないからコストが低いということになります。

月に使えるデータ量が少ないなどのリソース面もありますが、今回の例で言うと、代替え機がない、問い合わせ窓口が狭いなどのアフターサポートの質が低いということも十分にコストダウンたる要因に相当します。もちろん、大手キャリアのように専門ショップがあちこちに存在しているわけもありません。

ホテルを例にして考えると

  • 1泊2食付き
  • 素泊まり

…どちらが高いですか?

言うまでもないでしょう。

非常にわかりやすい例えですが、夕食食べて寝て起きて朝食もあるホテルと、ただ寝床しか無いホテルでは、当然後者のほうが安いケースが多く、食材の調達や調理環境、調理者の雇用といった食事の用意のためのコストが掛からない分、ランニングコストは低く済みます。当然ながら、ホテルに食事を求める人や、周辺の食べ物屋を知らない、足腰が弱く食べに出歩くのが困難な方からすると、使いづらいことこの上ありません。

では、こちらはどうでしょうか。

  • 朝食付き 6800円
  • 朝食付き 4800円

当然ながら後者のほうが安いと思いますが、同じ条件で2000円安い理由を求めるはずです。建物が古い、部屋が狭いなどのスペック面が真っ先に思い浮かびますが、そういう面でトントンだと、じゃあ一体2000円も安くなり理由はどこにあるんだ、と、余計疑わしくなると思います。いわくつきでは…と思うことが多いでしょう。

それでは、本題に入りましょう。

安いクリエイターには理由がある

イラスト、音楽、動画、ナレーション、ホームページ制作…同じものを作ってもらうにしても、値段に差があると思います。

高くなる理由としては、機材がいい、ネームバリューがある、売りとなる技術がある、特定のジャンルに強い…様々な要因がありますが、安くなる理由としてはだいたい決まったものです。

安くなる理由は

  • 機材や技術が乏しい
  • マチュアが片手間に
  • 実績がほしいから

だいたいこの3つに収束すると思います。

個人法人問わず、安さをセールスポイントにしているところは、案外きっちりとした料金設定をしていますし、問題となる「安請負」の値段と比べても遥かに高いです。

機材や技術に乏しいことについては、サンプルを見るなり聞くなりすれば、おおよそのクオリティを知ることはできるでしょう。クオリティがクライアントの望むレベルに適わなければ、値段以前の問題になります。問題は、十分なクオリティがあるにも関わらず、相場を逸脱した値段を提示していたり、無償依頼に応じてしまうパターンです。

マチュアが片手間でやっているというケースの場合、片手間でやっているからということを前面に出され、突発的な対応ができなかったり、私生活を優先されて締め切りを踏み倒したり、最悪リテイクを繰り返されることを苦にして逃げられたりすることもあります。その際に「アマチュアだから…」と仕事の不履行を正当化されてしまうかもしれません…これでプロジェクトに損失が発生し、クリエイター本人を責めたとしても、アマチュアだと知って彼を選び、仕事を振ったクライアント本人が損失の責任を負うことになるでしょう。

また、実績欲しさで無償ないし激安で請け負うクリエイターは、遺憾ながら決して少なくはありませんが、低い金銭的コストにも関わらず仕事を請け負ってくれるのは、目に見える作業実績や制作経験など、低い報酬を上回る別要素の獲得があるからです。もし制作途中でこれら別目的が達成されないと踏むと、クリエイターを結びつけるものはなくなり、彼らは忽然と姿を消してしまうでしょう。

買い叩くのは安くするのと同じ

まっとうな値段を提示するクリエイターを安く買い叩くこと…これも危険なことであると言えます。

値切った分だけパフォーマンスが落ちる

個人事業として運営できる値段設定をしているにも関わらず、それを下回る金額で仕事をされた場合、その値引き分を補填する方向に舵を切ります。

単純に考えれば、案件に費やされる作業時間が減ります。作業時間を減らすため、リテイクに応じなくなったり、作りが雑になったりするでしょう。また、同じ作業をしても報酬が下がるため、普段よりもモチベーションが低くなり、やっつけ仕事になるだけでなく、納品が締め切りギリギリになったり、メールへの返信も遅れるなど、事務作業にも尾を引くでしょう。

マイナスイメージが付く

クリエイターに「この人は自分の仕事を値切った」というマイナスイメージを与えます。パフォーマンスに悪影響をおよぼすこともさることながら、もし、今後同じタイミングで同じ仕事が入った時、マイナスイメージを与えたクライアントの案件は選ばれなくなるでしょうし、クリエイターがコンスタントに仕事を請け負うようになれば早々に見限られ、彼に仕事を依頼しても断られてしまうでしょう。

我慢の限界が来た時に暴発する

ツイッターにはクリエイターの苦労話が度々流れてきます。

ただ、その大多数が「無償ないし激安でクリエイターをこき使う」「散々に渡るリテイク」など…こういった情報は、大体クリエイターの我慢の限界が故に一部始終を暴露するという形で拡散されます。特にSNSの普及で、クリエイターとファンとの距離は近くなり、クリエイターの内部事情がファンの目にするところになる、と言うケースは珍しくありません。当然、クライアントがどういう相手なのかも…それは実名こそ出なくとも、クライアントのやり方で安易に判別できる情報として流れてきます。

もちろん、守秘義務に触れる触れないにかかわらず、クリエイターがこういうやり取りを暴露することは決して褒められることではありません。しかし、クリエイターもプロとは言え人間という感情動物です。踏みとどまってクライアントと付き合い続けるメリットを、デメリットが上回ればその限りではありません。

 

結局のところ、安い値段で仕事をさせるのは、仕事を頼む上でリスクを伴うのとイコールと言えるでしょう。まっとうな価格で頼むと出費は2倍になる…だが、増額分を惜しみ、リスクの高い選択肢を選んだ結果、クリエイターに裏切られれば、増額分を遥かに超える損失を、クライアントが被る結果になるでしょう。

もちろん、安請負でありながら、きっちりとした仕事をする人もいます。しかし、彼を支えているのは善意です。善意がなくなれば、当然彼は忽然と姿を消します。もっとも、初対面で面識がない人に、どうして善意できっちりとした仕事を請け負ってもらえるでしょうか。善意でしっかりと仕事を遂行する人は、善意で応えようと思える相手でなければ、まず請け負うことはないでしょうし、そういうクライアントが、彼に本当の意味で無償の仕事をさせるとは思えません。

 

安いには、安い理由がある…

安さを追い求めて痛い目を見る前に考えることができれば、クリエイターもクライアントも、双方ともに幸せな関係をもって仕事ができるでしょう。

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