クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

「月収入を公表すること」の危険性

皆さん、おはようございます。

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フリーのクリエイターの中には、ブログ活動が顕著な方は少なくありません。

作品制作のみならず、ブログ活動から存在を知り、案件獲得につながるというケースもあります。

特にこのご時世、前歴なくフリーのクリエイタースタートでも、ネットでの立ち回りを上手く行えば、仕事獲得も十分可能になりました。現状が続けば、今以上にフリーのクリエイターという、組織に属さないクリエイターの在り方がポピュラーになるでしょう。

月収入を公表することへの危機感

しかし、掲題のとおり、ブログ上でクリエイターとしての収入を公表することについては、反対の立場を取らせてもらいます。

大きく分けて、2つの懸念があるからです。

1.誤った単価を周知させる懸念

2.クリエイターが貧しいという印象を助長する懸念

1.誤った単価を周知させる懸念

クリエイター問題の問題点の1つに、不当な価格によるクリエイターへの買い叩きがあります。オンラインで仕事をやり取りし、周知徹底が簡単になった今、クリエイターが増えたと同時に、クライアントも増えました。しかしその分、不当な価格を突きつけられることが問題に挙がることが多くなりました。

もちろん意図的に買い叩いてる事例、買い叩くつもりがないが結果として買い叩きに匹敵する値段を突きつけてしまった事例などありますが、業界相場を知らない人からすれば、「この仕事にどれくらいかかるのかわからない」ことは多く、情報がないまま値段を提示した結果、買い叩きだと下ろされてしまうケースもあります。

そうなれば当然「~~制作」「単価」「相場」とかのキーワードで検索し、それで目についたものを有用なサンプルとして考えるでしょう。しかし、その過程でもし「自分は駆け出しだから安く仕事を請けよう」という人のブログがヒットしたらどうでしょうか。

「今月は制作10件請負い、収入は15万円です」

のように、おそらくご丁寧に内容と件数、収入を記載しているかと思います。

しかし、この例で上げた文面を見ると、単純に考えて「この制作は1件15000円でできるんだ…」と思われてしまうでしょう。

そうなると、同じ制作を依頼した時に、その値段を突きつけられます。当然、それに不服と反対すれば「この同業者はこの値段でやってた!」と返されることが予想されます。まっとうな値段を提示している人に仕事が行き渡らなくなるだけでなく、買い叩きするクライアントをクリエイター自ら生み出すことになります。

2.クリエイターが貧しいという印象を助長する懸念

最初の段階は、仕事が取れません。

仕事が取れない様子などもブログ記事として扱うのも、今後自分が成長した時に「あの頃はこうだったな…」と、未来の自分を味付けするような要素になるかもしれません。

でもそんな味付け必要ありません。

仕事が取れない、収入が少ないというそのままを記事にすれば、それを見た人に「クリエイターは食えない」という印象を与えます。貧しい印象をあたえることは、それだけ足元を見られやすくなります。買い叩きが増えるだけでなく、仕事をしても貧しい、弱い立場だという印象が、横柄なクライアントを呼び寄せる原因となります。

駆け出しでもベテランでも、同じ業種のクリエイターを名乗っている以上、その業種のクリエイターの代表です。1人の軽率な言動が、クリエイター全体を貶めることにもつながりかねません。

なぜ月収入を公表するのか

よくよく考えると、月収入の公表は見る側にとってメリットはありません。

しかし、月収入というクリエイターの暗部、人によっては恥部とも言える場所を曝け出すことには、曝け出すメリットがあると考えます。

自分への戒めとする

自分で目標を掲げても、自分ひとりでは何かと理由をつけて未達成の理由をでっち上げ、正当化することは可能です。しかし、ブログという不特定多数が見る場所に記事として掲げることで、自分の成果は誰かから見られているというプレッシャーを感じ、手抜きはできないと自分を戒め、活動の原動力になると言う考えはできます。

月収入公表で仲間意識を求める

これは次の項目にリンクするところがありますが、月収入を公表することで、同じ境遇で仕事をしている同業者に共感を与え、仲間としてつながる可能性もあります。逆に、相手が公表しているのを見て、自分も負けじと切磋琢磨できるのもあるでしょう。

ただ一番の理由は、同じ境遇にあるブロガー同士つながりたい、という目的ではないでしょうか。

先達に倣う

ある種このブログを立ち上げた契機ともなったのですが、ブログで月収入を公表しつづけていたクリエイターが、今や人気のクリエイターになっていて、その姿勢に倣うクリエイターは少なくありません。

ただ、リスペクトや売れたい感情が先行し、単に先達のやることばかりを真似して、肝心な心が置き去りになってしまうことが懸念されます。大企業の社長の服装を真似て、高級車を買っても、大企業の社長になれるわけがありません。

ブログアクセス数を稼ぐ

…結局、この思惑が強いのではないでしょうか。

アクセス数が増えれば、当然ながらクリエイター業をする自分の存在を周知することになりますし、クリエイターを求める人を自分の庭に引っ張ってくるチャンスも増えます。

それに、項目2のように、同じ境遇のクリエイターのブログから採り上げてもらい、別のブログの読者層を引き込む狙いも十分に考えられるでしょう。

 

先達は一昔前に「ブログで自分のクリエイター収入を公表」という大胆な方針を切り、そこからは氏の成長の様子を窺い知ることができます。その今に至るまでのプロセスは、同業者として挑戦への気概と勇気を与えてくれることは確かです。

しかし、それに倣うことが、いたずらにクリエイターの立場を貶めるものであれば、それは見直さなければならないと思うところです。

先達の成功事例が、他の人の成功事例になるとも限りませんし、後のご時世の成功事例になるとも限りません。戦略の良し悪しを吟味しつつ、考えて行動できるクリエイターが増えれば、困難を乗り越えることは十分可能だと信じています。