クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

目指したい「クリエイターの姿」

皆さん、おはようございます。f:id:nrts-creator:20171110102920j:plain

このブログでは、クリエイターがどうあるべきか、どうあって欲しいのかを記事にしていますが、よくよく考えると、クリエイターの理想の姿について語ったことは記憶にありません。

語ったことがあっても、記事にした記憶が無いというのであれば、まだしっかりと語ったと判断するには力不足とも言えるでしょう。

というわけで、クリエイターがこうあってほしいというビジョンを描きたいと思います。クリエイターがどうあって欲しいか、それがはっきりすることで、クリエイターを取り囲む問題をどう解決すべきか、その糸口が見えてくることでしょう。

 

目指したい「クリエイターの姿」

理想を語って構いません。

  • クリエイターがクリエイター業だけで自活できること
  • クリエイターが職にあぶれたり仕事獲得に難儀しないこと
  • 営業などの非創作的な業務にリソースを取られないこと
  • 無償激安での請負、買い叩き、安売りがないこと
  • クリエイター業が事業として認められること
  • クリエイターとして戦いたい人が戦えること

この6つだと考えます。

他のテーマと被るところはそれなりにありますが、この5つが重要だと考えています。

では、先のテーマの「逆」を挙げてみようと思います。

目指したい「クリエイターの姿」を妨げるもの

  • クリエイターは副業やバイト掛け持ちも珍しくなく、稼げない
  • 仕事に対するクリエイター供給過多、仕事の絶対数が少ない
  • 営業、素材作りなど、創作に打ち込めない。または本業・副業に時間を要する
  • 仕事獲得のためのクリエイター自身の安請負、それを狙った買い叩きの横行
  • 「趣味の延長だろ」「好きでやってるんだろ」と仕事として認められない
  • 経済的、地理的、年齢的に諦めてしまう人が多い

実際はもっと多いのですが、先の理想のクリエイターの姿に対する逆はこういうことだと思います。

じゃあ具体的にどうするのが…?

  • クリエイターがクリエイター業だけで自活できること
  • クリエイターが職にあぶれたり仕事獲得に難儀しないこと
  • 営業などの非創作的な業務にリソースを取られないこと
  • 無償激安での請負、買い叩き、安売りがないこと
  • クリエイター業が事業として認められること
  • クリエイターとして戦いたい人が戦えること

単純に考えると…

正社員という形で雇う企業、椅子の数が増える

これに尽きます。

これだけで理想のクリエイターの姿の6項目全てをカバーすることができます。

…でも、このブログ、フリーのクリエイターとしてこうあって欲しい、と言うことも語っていませんでしたっけ?

もちろん語っています。

それは、椅子の数が少なく、椅子取りゲームに勝てずにフリーとして活動せざるを得なくなったクリエイターが圧倒的に増えたからです。しかも、簡単にネットなどで作品を公開でき、不特定多数の目につきやすく、それを契機にクリエイターとしての仕事を請け負うというケースも増えました。

しかし同じだけ、同人作品制作の延長で無償・激安で仕事を依頼したり、素人だからと足元を見たり、実績をちらつかせて買い叩いたりといったトラブルも増えました。今はSNSの影響力が大きく、素人を狙った無償激安案件や、有名作家の買い叩き事案などが共有され、徐々に不当な契約に対する反発の動きは高まっていますが、それでもなお、由々しき事例は後を絶ちません。

しかも無償激安案件は、不特定多数に激安で仕事をさせる、仕事を買い叩くといった事例だけなく、創作を本業としているプロフェッショナルさえも危機に貶めようとしています

ある程度の創作能力があれば、プロフェッショナルの掲げる実相場と、素人の掲げる激安相場、どちらを選ぶかと言ったら答えるまでもないでしょう。もちろん、素人を選んだことでそれ故のトラブルを被る危険性がありますが、激安である以上その損失は低く、余程のことがない限り、安全性を考慮して高い金額を要求するプロを起用しよう、ということにはならないでしょう。ましてや「実績がほしい」と躍起になっているクリエイター相手なら尚更です。

そのため、クリエイター業を目指す人が、クリエイター業の世界で戦う人たちが、その世界を奪われないように自衛しなければなりません。「無償激安に負けるようじゃプロとして失格」とは言われますが、予算がなければまっとうなプロには頼めませんし、無償激安を許せば、「創作なんて所詮その程度の予算しかかからない」と理解され、余計にクリエイター界隈を苦しめることになります。

そのため、まっとうな金額を提示する、まっとうな金額は責任と信頼を意味するということを、クリエイター、クライアント双方に対して訴えていかなければなりませんし、言葉は荒いですが、クリエイター業…それを事業として理解せず、無償激安での請負を是とするクリエイターは、直ちにクリエイター業を廃業し、同じ世界に戻って来るなとも言わざるを得ません。簡単に機材を揃え、クリエイターを名乗り、事業を始められるようになった今だからこそ、改めてクリエイター「業」であることの大切さは、訴えていかなければならないでしょう。

他にどんな対策ができるのか

クラウドソーシング系サイトの活用

 いわゆるランサーズやクラウドワークスと言ったランサーサイトです。

nrts-creator.hateblo.jp

 これにより、個人とクライアントを直接ビジネスパートナーとして結びつけるため、営業の手間が省けること、この場でやり取りができることもありますが、請負内容について不服な点があればサイト運営事業者に通報ができるといったことで、ナレッジの蓄積による業務依頼の改善が期待できるところです。

ただ、激安案件の横行が続き、クラウドソーシングサイトの在り方は、考えていたものとはどうやら違ったみたいです…これについてはいずれ記事にしようと思います。

個人事業届出のないクリエイターの請負禁止

クリエイター「業」なので、事業者届け出がないクリエイターへと依頼することを禁止すれば、「素人を捕まえて買い叩きで仕事させる」ことも「実績欲しさに買い叩きに応じる」ことも大幅に封じることができるでしょう。

ただ問題は、どこからどこまでをクリエイター業とみなすか、その決定要因が曖昧ということです。絵や音楽などをボランティアで作らせることもクリエイター業に含まれるのか、趣味の範囲でも含まれるのか…それこそ「趣味で作っている人に協力をお願いしたい」という些細なケースにも踏み込んできて、かえって創作界隈を萎縮させかねないと言う危険性もあります。

いわゆる派遣業

これについてはすでに存在しているし、利用している人も少なくはないでしょう。

ただ、派遣故に就業可能な時期が不透明だったり、派遣でも仕事の絶対数が少なかったりする上、派遣登録するために実績が必要であるケースもあるため、実績がない場合はそこで躓くことになります。

 

クリエイター問題は、単純なようで根深い…

しかし、クリエイター自身が、なりたい姿、こうありたい世界を語ることが必要であると思います。

クリエイター問題を解決したい、そう口にしなければ解決しません。

同じように、クリエイターがこうあって欲しい、それを口にすれば、そういうクリエイターが増えて、必然的にクリエイターにとって素晴らしい世界が構築される…それを願って、記事の更新を続けていこうと思います。

 

クリエイターを、「食業」に。