クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

ランサーズに苦情を申し立てた話

皆さん、おはようございます。

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以前から「ほとぼりが冷めたら投稿します」と書いていた記事について投稿します。

その内容は…タイトルのとおりです。

 ランサーズに苦情を申し立てました

ランサーズといえば、サイトを介して業務を提案するクライアントの案件に、ランサーであるクリエイターが交渉し、マッチングしたら仕事を行うという、BtoC、CtoCの形態を持つサイトです。

しかし、オンラインでの請負交渉は、非常にトラブルが多いのもまた事実で、それはランサーズでの請負交渉、業務の提示においても例外ではありません。

もちろん、音楽制作の請負案件もありますが…残念ながら音楽制作のカテゴリにおいても例外ではありません。そしてこれらは今に始まったことではありませんでしたが…

 

7月下旬

あまりにも酷い案件を次々と投稿するクライアントが出たため、堪忍袋の緒が切れました。

以下、ランサーズ運営に投書した内容となります。(一部加工)

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何が悪質なのか

悪質と思ったのは以下の3点です。

常軌を逸した相場の提示

1曲あたり5000円程度での発注、その上で、作曲、編曲、ミックス、マスタリング…もっと簡単にいうと「5000円で市販CDクラスの音源を作れ」ということです。

そしてこのクライアントが、通報時点で同様の事例を何件か投稿していたこともありました。つまり、5000円程度で作曲の完パケができてしまう、と思われているのです。

初めてでよくわからないので5000円でお願いします。」

そんな人が同様の案件を何度も投稿するはずがありません

それなりに高い案件成立実績

こういった常軌を逸した相場の提示をされたケースは、何も今回に限ったことではありません。

しかし、発注したクライアントの実績欄には、この段階で4/7と、半分以上の確率で案件が成立しているという表示がありました。

つまり、このクライアントが提示した案件に加担したクリエイターがすでに出てしまっているということです。

もちろん、提示された額面で請け負ったという保証はなく、クリエイターが提示した価格に妥協したという線も考えられますが、それであれば「この価格じゃないとクリエイターは作ってくれない」と考えるため、1曲5000円で提示する可能性は低いでしょう。

つまり…提示された額面近辺で案件を請け負った、ダンピングに応じてしまったクリエイターが居るということです。実績欲しさにダンピングに屈するクリエイターを野放しにしては、「楽曲は5000円程度の金額で作ってくれる」という価値観を蔓延させ、まっとうな額面で仕事を依頼するクライアントも、まっとうな価格でしっかりした仕事をするクリエイターもいなくなってしまいます。

 

でも、もっと由々しい問題がそこにはありました。

やたらと上から目線

これはこのクライアントに限ったことではありません。

しかし、クライアントの仕事を買い叩く、相場を逸した低価格を提示するクライアントに共通していることだと感じられます。

特にこういう文言は共通して見られるように思われます。

「作品が良ければ(2倍程度の金額)にアップします」

完パケ相応の仕事をさせ、買い叩いた上で「クオリティが良ければ増額する(もちろん増額してもまっとうな価格からは程遠い額面)」…明らかにクリエイターを舐めているとしか言えません。

 

決して、クライアントはクリエイターを上に見ろとも、クリエイターに敬意を払えとも言っていませんし、クリエイターが驕り高ぶっていいという言質ではありません。

しかし、クライアントはクリエイターが制作するコンテンツ、プロダクトを得られなければ、クライアントの抱える仕事は完遂できません。仕事を完遂するためには、クリエイターを探し、交渉し、仕事をアサインし、成果物を納品してもらわなければなりません。成果物が手に入らなければ、クライアントとしては仕事の失敗となり、業務上の責任を負うこととなります。

それでもなお、クリエイターへの敬意どころか、クリエイターが仕事をするとは思えない額面の提示や、クリエイターを下に見る横柄な態度に対して、どうして彼がビジネスマンとして真剣に仕事のアサインを模索していると思えるでしょうか。

 

「嫌だったら文句垂れないでブラウザを閉じればいい」というのはごもっともです。仕事を選ぶ自由はあります。

しかし、クリエイターのこれからを考えると、ここでクリエイター業そのものを沈没させるような事例を見逃すわけには行きません。

ダンピングに対して毅然と断らなければ、ダンピングは横行するし、ダンピングに対して毅然と断ることを知らないクリエイターが居るなら、ダンピングに応じるなと啓発したり、ダンピングには断固反対する姿勢を、サイト運営者に訴えていかなければなりません。

ネット上では「ランサーズに登録しているクリエイターだったら安値で使える」とまで吹聴されるほどです。今日び「安く買い叩くためにランサーズなどの外部サービスを利用する」という悪意を持ったクライアントの存在は否定できません。

せっかく個人がWeb上で仕事を請け負うという新しい業務形態が確立され、新しい業務形態の確立によって、過去の悪習や不当な搾取を断ち切れるチャンスだというのに、新しい業務形態を腐敗させ、業界自体を沈没させかねない…1クリエイターとして、クリエイター業に携わる人間として、業界を守る姿勢を堅持し、業界を脅かす動きについては、これからも断固反対していく所存です。

そして、返事がきました

翌日、ランサーズ運営より返答がありました。(一部加工)

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今回のことは、ランサーズ全体で言えば、クリエイター業全体で言えば、1クリエイター業のクレームとしか映らないでしょう。

しかしながら、然るべき時に声を上げることも必要です。声を上げることを弱い者扱いしても、不遇は全てクリエイターの責任と思い込んでも、何も解決しません。

クリエイターには、クリエイター業に携わるための安全安心で快適な、そして仕事をする上で幸せを感じられる業務環境を手に入れる権利があります。

そして、そういう業界をクリエイトしていくのが、クリエイターの責任であり、使命であると考えます。

 

nrts-creator.hateblo.jp

 なお、次回の記事にて、「ひたすら楽して~」を9月下旬に早めた理由をお話します。

その理由は、ランサーズと絡んだ、ちょっとした試みです…