初対面ですべてが決まる
皆さん、おはようございます。
よく「人は見かけによらない」とはいいますね。
身なりは明らかに反社会的な感じがするけど、実際は挨拶ができてモラルもしっかりしている…といったように、見た目だけではその人のすべてを把握する事はできない、ということです。
しかし、それは事実ですが、見た目で判断されてしまうこともまた事実です。
特に、複数の人の中から一人を選ぶ、という場合、いちいち一人ひとりを精査するだけの時間はなく、選ぶ人の印象に左右されるところが多いです。
きっかけは、夏コミの後
8月開催の夏コミこと、コミックマーケット90の後、機材調査のために秋葉原まで足を運びました。機材調査や雑務をこなし、お腹がすいたのでつけ麺を食べようと、1軒のラーメン屋に入りました。
そのラーメン屋は、秋葉原での諸用を済ませて帰ろうとするときに決まって目にするのですが、大体は他の飲食店で食べていることが多く、気にはなっていたものの、その店に寄るチャンスはありませんでした。今回は、つけ麺が食べたいという意志があったため、初めてその店に立ち寄ることにしたのです。
店内は、特に変わりのないラーメン屋さんの様相でした。食券制になっているところも、最近のラーメン屋っぽい感じがあります。
しかし、つけ麺を頼んだのに出てきたのは味噌ラーメンでした。
ふと向かいを見ると、明らかに自分の方に視線を向けてくる客がいて、従業員に対して「味噌ラーメンはまだか」とクレームをつけていました。その味噌ラーメンはその客が注文したもので、いわゆる提供ミスだったのです。
その後、注文したつけ麺が提供されました。味は個人的には悪くなかったと思いますが、提供ミスがあったこと、店員の態度が提供ミスに対してもあっけらかんとしていたことなどもあり、結局いい印象が残りませんでした。
完食し、その店を出て帰路につきましたが、おそらくそのラーメン屋には二度と足を運ぶことが無いでしょう。
第1印象を覆すにはとんでもない時間がかかる
1/1(いちぶんのいち)
一人暮らしの時、飲食店でバイトをしていました。
バイトを始めて2ヶ月…混雑から2日連続でクレームをもらい、「もう辞めたい」という気分に苛まれました。幸い、踏みとどまったのでなんとかなり、その後はクレームに苛まれることはありませんでした。今思えば悪い偶然に立ち会ってしまったと理解はできますが、それはあくまでもその当時を客観視できる心理状況と、ロングスパンで見た時のクレーム率という経験に基づくデータがあるからです。
でも、バイトを始めてすぐの人にとっては、1回のクレーム÷勤務時間の比率が高くなることは目に見えています。ある店では1年に1回の割合でクレームをもらうので、クレーム率は 1/365 ですが、勤務日数が10日の人がそこに立ち会った場合、その人から見たクレーム率は 1/10 …つまり、10日に1回はクレームに苛まれるという認識をされてしまいます。それに、仕事を始めてすぐの人は、右も左もわかりませんし、現場の雰囲気もわかりません。それも体感上のクレーム率を高める要因となり得ます。
今回のラーメン屋の件については、最初の1回でクレーム事案に遭遇したので、体感上のクレーム率は 1/1 …食べに来ると毎回クレームが発生するという体感クレーム率になっています。
汚名返上が難しい理由
もちろん、そのラーメン屋に足を運び続ければ、あの件は単なる悪い偶然に立ち会っただけだと納得できますし、それを挽回するような接客や料理に出会えるかもしれません。しかし、理論上ではそう思っていても、感情がそれと逆行します。
初めて親戚の家に遊びに行った子供が、もし親戚に手を上げられたら、どう思うでしょうか。間違いなく「親戚の人は子供に手を上げる暴力的な人、だから大嫌い!」と思うでしょう。たとえそれが、偶然手を上げる事案になってしまったにせよ。
クレームもそれと同じで、初対面の時にクレームに立ち会ってしまった場合、顧客には嫌いという感情が芽生えてしまいます。クレームが発生したから即大嫌い、となるとは限りませんが、クレーム事案という、人であれば避けられないヒューマンエラーに対し、然るべきフォローができてない場合、ヒューマンエラーからその店に対する不信感が芽生えてきます。特に飲食店など、代替え案が多い場面にとっては、じゃあ他の店に行けばいいやということになり、汚名返上するチャンスは極めて少ないでしょう。
もし、再来店という形で汚名返上するチャンスが訪れたにしても、客からすれば常にクレームに対して警戒し、厳しい目線を向け続けるわけなので、一層神経を使わなければなりません。
「100回に1回のクレーム率」でも、60回ぐらいで1回のクレームに遭遇した時と、はじめの1回ないし数回で1回のクレームに遭遇した時では、どちらのほうがクレームからのダメージが少ないか、今後の挽回のチャンスが多くなるか、それは想像するに容易いと思います。
初対面で全てが決まる
人は見かけによりません。
但し、人は見かけだけじゃないと判断されるまでには、多くの時間や接触が必要で、そういったチャンスがない限り、人は第一印象で判断されてしまうものです。
なので、仕事のチャンスが巡った時に、相手に自分の印象をどう与えるかが、仕事獲得での鍵となってくるでしょう。
クライアントが初対面のクリエイターに求めるもの
- クライアントが求める制作能力
- クライアントが求めるジャンルとのマッチング
- 価格と納期
- 仕事に対する信頼
この4点だと思います。
クライアントが求める制作能力・マッチング
制作能力は、単純に「自分の求めるクオリティの閾値を超える作品を作れそうか」ということで、クライアントが求めるジャンルとのマッチングは「作って欲しいジャンルを作ることができそうか」ということです。
クオリティを下げてまで苦手ジャンルを作るのは割に合いません。苦手ジャンルの作品でその人のクオリティを測られてしまう可能性が高く、仮に仕事を得ても苦手なジャンルを得意とする同業者と競り合ってもクオリティで勝てないからです。参考となる作品には、自分の得意とするジャンルを作るのが一番でしょう。
価格と納期
当然ですが、クライアントはクリエイターにお金を払ってまで制作を依頼するのですから、どれだけのお金が、納期までに作品を納品するのに必要なのかを把握できなければなりません。
それに、仕事をするのにどれぐらいのお金が必要で、どれぐらいの期間で納品できるか、これを明確にできることが、仕事をきっちりとできるという信頼を与える一因となり得ます。見積もり価格をクライアントが手計算出来ないというのは、実績や作品が魅力的など、余程他でフォローする力がない限り「じゃあ他のところでいいや」と敬遠されるのがオチでしょう。
仕事に対する信頼
価格と納期、と被るところはありますが、この人に仕事を任せても大丈夫だな…と思わせる要因ですね。
これについては、仕事慣れしている、実績があるというのもそうですが、今の御時世、言葉遣いやSNSでの言動も含まれると思います。特に実績がない場合は初対面なので、言葉選び一つ一つで相手の素性を探ろうとするものです。
乱雑な言葉遣いは、顔の見えないネット上では言葉よりも大きな影響を与えます。また、営業などで「政治宗教野球の話は禁則」と言われるように、禁則に引っかかる話題については、意図しないところでクライアントを追い払ってしまうことも考えられます。最近では時事問題に対する立場の誇示※も禁則に入ってるように思えます。
上記話題が禁則とされるのは、それらの話題が出た際に意見の違いがトラブルのもとになり、仕事に悪影響を及ぼし、最悪決裂するという懸念からです。
もちろん、サイトのデザインや見やすさ、クリエイターのこだわりや理念といった要因も含まれますが、それらは二の次という感じがしますね。
兎にも角にも、初対面ですべてが決まる…初対面で、この人に仕事を頼んでも大丈夫そうだ、と思わせられることが大切だと思います。
おまけ
人は見かけによらない、とは言われますが、基本的には人は見かけです。
その人の本質が、外見という形で現れてくるものだと思います。