「プライドが高い」は悪なのか
皆さん、おはようございます。
プライド
この言葉に、どんな印象を抱くだろうか。
プライドが高い?
プロ意識?
格闘技?
ポテト?(それは「フライド」です)
チキン?(それは「フライド」です)
…色々あると思います。
プライドとは何か
Pride [名詞]
- 自慢
- 誇り
- 自尊心
- 自負心
- 自惚れ
- 高慢
- 思い上がり
- 横柄
これだけの意味がありますが、主に使われている意味は色を付けた4つだと思われます。良くも悪くも、自分の能力が高く振る舞う様という意味があります。
さて…
プライドが高い、は悪なのか
世間一般で頻繁に使われているプライドの用途は、おそらくこれでしょう。
「あの人はプライドが高いから…」
先程Prideという意味を羅列したにも関わらず、使われるのはだいたい負の側面が強い意味が多い気がします。でもよくよく考えてみてください…
「あの人はプライドが高いから、悪いことをしても全然謝らない」
「あの人はプライドが高いから、人の言うことを全く聞こうとしない」
それって、プライドが高くなくても文脈が成立しませんか?
プライドが高くなければ、悪い事して謝らなかったり、人の言うことを全く聞こうとしないことが許されるというわけもないでしょう。悪いのは謝らないから、人の言うことを聞こうとしないからであって、それをわざわざ「プライドが高い」に絡めていませんか?
それを考えると、プライドが高いというのは、単に悪い振る舞いをする人を指す単語に成り下がっている、そんな気もします。
おしまい。
…終わっちゃだめだ。
プロにはプライドが必要なのか
必要です。←結論
もしも、自分の仕事に誇りを持てないプロがいたとしたら、どうでしょうか?
「まだ未熟者ですが…」
日本では粗品、粗茶、つまらないものですが…と、接客の際に自ら謙る表現を使うことが多いです。しかし、それはプロの仕事では一切通用しません。
プロフィールにこんなことを書いてある人に、誰が仕事を頼みたいと思うでしょうか。せっかく仕事を頼んでもこんな言葉と一緒に成果物が納品されて、果たして嬉しいでしょうか。
むしろ自信が持てない言動を目にしてしまったが故に、成果物や本人に対して、疑いの目で見てしまう可能性もあるでしょう。疑いの目で見られるということは、クライアントに不信感を抱かれるということです。仕事において無用な謙りは場違いと言えるでしょう。
不信感を抱かれるとどうなるのか
不信感を抱かれて疑いの目を向けられれば、仕事を進めるにおいて不利になることは言うまでもありません。
いたずらに自分に自信がないということをアピールすれば、そこに付け込まれる危険性があります。単純に考えて、クライアントの良いように買い叩かれませんか?
プライドが高いが蔓延る危険性
プライドが高いという言葉が悪い意味を持つ風潮は、プロからすれば由々しきことです。なぜなら、クライアントからして都合の悪いことを、プライドが高いの一言で封殺することが可能になるからです。
例えば…
「音楽制作の依頼をお願いします。3分程度のBGMです。報酬は5000円でお願いします」 ※本記事制作時点で、実際に頻発した事例です
「5000円では作れません。その金額では無理が有ります。最低ライン3万円からとなっております、ご理解ください」
「前依頼した人はその値段で快諾してくれたよ?なのにどうしてあなたのような無名がいっちょ前にそんな金額を出すの?君はね、プライドが高いんだよ。そんなことじゃプロで食っていこうなんて無理だよ。実績がないうちは安く買い叩かれようが喜んで仕事をするものだよ、みんなそうやって有名になっていったんだから…」
こういうパターンが、一番想定されやすいのではないでしょうか。
クリエイターとして正当な代価を要求しただけで反発されたわけですが、その中で「プライドが高い」と使われることで、あたかもクリエイター側が悪いという印象を植え付けようとしています。それ以前に、クリエイターに対して上から目線で、仕事を振る相手に対して無名だのいっちょ前だのと言い放つ時点でお察しでは有りますが…
クリエイターに激安で案件を突きつけて、望みどおりの返事が来なければ一方的に非難するというケースは、今日びクリエイターのプロ・アマ問わず、多く聞かれます。ちなみに、実績がないうちは安く買い叩かれてでも仕事を得るべきというのは、制作現場で仕事を振っているクライアント自身がクリエイターを買い叩くだけの悪い案件だと批判を明言しています。
クライアントがクリエイターに仕事を振るというのは、仕事契約を結ぶということ、商売の取引相手になることを忘れてはなりません。
プライドが高いを履き違えてはいけない
プロとして毅然とした態度を取る、仕事に対して自信を持つことは、買い叩き案件にきっぱりとNoを突きつける、買い叩きをするクライアントを呼び込まないことにつながるのもそうですが、何より「いい仕事しました、どうぞ!」と進められて作品を納品されたほうが、クライアントの喜びも大きくなるでしょう。
しかし、プロがプライドを高く持つことは、決してクライアントに対して驕り高ぶる、見下すということではありません。それこそ、プライドが高いという一言で非難されるきっかけになってしまいます。
絶対に妥協してはいけない線を守り、そこをベースに謙るときは謙り、自信を持って制作に臨むこと、それが正しいプロのプライドの在り方だと思います。
プライドが高いのはなぜ悪いのか…
プライドが高いの一言で片付けられないようにするにはどうすればいいのか…
プライドが高いという言葉を使うその真意は何か…
改めて、クリエイターに求められるのは、自営業者としての理論武装だと思います。特にどこか組織に属すること無く仕事を請け負う人が増えた今日では、その理論武装ができるか否かが、クリエイターとして、自営業者としての存続に関わる要因とも言えるでしょう。