クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

アニメ業界がピンチらしいですね

なんとか生きてます…

 

皆さん、おはようございます。

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水面下でのあれこれや、単にリアルが忙しくて、寝るかご飯か仕事してるかの状況が続いています。

ただ、ちょっと時間ができたこと、多忙の中でもこれは看過できないという話題があったので、今回はそれを取り上げたいと思います。

制作が間に合わない未曾有の事態

10月から始まったアニメ(もっぱら深夜枠なんですが…)の中で、制作が追いつかずに定期放送に間に合わなかった、という事態が問題となりました。

 

薄給、過酷な労働環境、1クール使い捨てのコンテンツ…アニメ業界というと今日ではいい噂を聞かない、ブラック企業を地で行くようなそんなイメージが強いですが、それでもこのような事態はありませんでした。まさに緊急事態、そういう表現も強ち間違いとはいい切れません。

起こるべくして起こった必然か

先に挙げましたが、アニメ業界というと耳に飛び込んでくる情報の限りでは、休息や睡眠時間が全くない過酷な労働環境に薄給といった現状、海外のアニメーターに食われているといった、華々しいコンテンツとは裏腹の現状があるようです。

特に、新人アニメーターに対して「最初の半年や1年は給料が出ない」とか「お金をもらえなくても働けるやつだけを求める」といった、あまりにも労働意識に欠ける薄情な発言が現場を支配している様子も伺えるほどです。

今回、制作現場が立ち行かず、放送に間に合わせることができなくなったのは、これまでの奴隷のようなアニメーターの酷使があったことに、制作現場が耐えかねた、悲鳴を上げる制作現場からの抵抗の意味もあるのかもしれません。

「企業の心不全

もちろん、態(わざ)と間に合わせまいとした結果が定期放送に間に合わせられなかった、ということではないとは信じています。アニメーターというプロである以上、納期までに仕事をきっちりと行い、成果を収めることは責務です。

但し、プロで働いている以上、その仕事に対しては相応の報酬を支払うべきですし、雇用している以上は、労働基準法を遵守する義務も有ります。何より、現場は常に最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、現場監督の責務も発揮しなければなりません。それを「好きなものを仕事にしているのだから薄給でもいい・過酷であっても悲鳴を上げてはいけない」などと精神論を突きつけるなど言語道断です。

簡単に言うと、まっとうな給料と高いパフォーマンスを発揮できる労働環境がなくなれば、現場の士気は低下し、作業能率は低下し、不測の事態を招いたり、仮に間に合ったとしても作品のクオリティに悪影響を及ぼしたり…そして最悪、今回のような期限までに仕事を完了できないという事態に陥れば、その損失は計り知れないでしょう。

現在の過酷な制作環境を是正しない限り、同じ事例は繰り返すでしょう。現場の過酷な労働環境がここまで公に問題提起されるようになった今日、たちまちインターネット上に飛び火すれば、ブラック企業として不名誉が拡散され、企業としての信頼を失う展開にもなりかねません。

もはや、インターネットがなかった時代の、苦しい事情を叫んでももみ消され、泣き寝入りするという時代は終わりました。積年の恨みが、いつ何時引き金を引かれ、企業の心臓を撃ち抜く銀の弾丸となってもおかしくはありません。

個人事業者も一歩間違えば二の舞いに

これは会社に所属している人にとどまりません。フリーで制作を請け負っているクリエイターにとっても、対岸の火事では済まされません。制作を頼むクライアントが十分な制作資金を出さないということは、その再分配も少なくなることは必然です。何より、制作にお金がかからない、というイメージが定着してしまいます。そうなると、プロとして、「食業」として確立すべくまっとうな制作料金を提示したクリエイターは、軒並み敬遠されてしまうでしょう。

改めて、食業意識が大切

プロとは実力がある人のことを指すわけではありません。

プロとは、その仕事を生業としている人のことです。サラリーマンだって、勤め先の仕事についてはプロということになります。その仕事についての技量、感覚などの実力は、プロとして生きている上で備わる、いわば必然であり、それはプロと定義することにはなりません。どんなに技量があっても、実力があっても、名声があっても、プロ意識がなければそれは、制作能力の高い素人です。

プロとして生きていくのであれば、当然、プロとして生計を立てられる状況を築き、維持する必要が有ります。自分の仕事に価値を見出し、仕事をする環境を整え、常にベストなコンディション発揮し、それを維持するのに必要なスケジュールを考えなくてはなりません

そうなると「500~5000円で楽曲制作ができる」「実績がないうちは激安でも請け負って実績を積む」「四六時中、常に仕事をし続ければプロで有り続ける」ということが正しくないというのは想像するに容易いでしょう。

 

残念ながら、今のクリエイター業において、プロとしての商売意識を持たずに、技量だけでクリエイター業を請け負うという人は少なくありません。プロとしての商売意識がなければ、自分の仕事を、業界を守れず、たちまち安く買い叩かれ、クリエイター業界に爪痕を残し使い捨てられてしまうでしょう。

改めて、プロとは何かというのを啓発していきたいと思っています。

 

クリエイターの買い叩き問題については、今後幾つか単独記事として取り上げていこうと思っています。

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