ランサー系サイトが盛り上がって欲しい理由
皆さん、おはようございます。
これからのクリエイターの戦い方は、ネット上での請負…クライアントとなりうる人を発掘して、仕事を請け負うというやり方が増えてくると思います。
クリエイターとして生活するには…
- どこかの会社にクリエイターとして所属する
- プロダクションなどに登録して仕事の斡旋を受ける
- コンペに参加して仕事を取り、知名度を上げる
と言ったことがぱっと思い浮かびますが…
プロダクションに登録~
仕事を斡旋されるだけで仕事を確約されるということではありません。
地方在住というわけで仕事を振られないこともあります。
コンペに参加して~
コンペを勝ち取るまでがあまりにも無謀すぎます。
会社にクリエイターとして~
これが一番妥当ですが、問題はその絶対数がないことです。
昔のように、ゲーム音楽を作りたいからゲーム会社にサウンド担当として就職する、なんてスタイルは今日では存在しません。自社でサウンド部門を抱えられるのは大きいところだけです。もちろん、そこの椅子を狙っての競争は熾烈です。
結局のところ、クリエイター業は狭い門…としか言いようがありません。
会社に所属するならともかく、コンペやプロダクションなどは、クリエイターの生活を考えてくれるとは思えず、クリエイターとして生活ができなくなったら非情にも切り捨てられてしまうのが見えているでしょう。そもそもコンペとかプロダクションが、駆け出しのクリエイターにとっては相性が悪い舞台だったりします。格上がゴロゴロ居る同業他社と戦争をしても、物量と技量と戦略全てで負けていては勝ち目がありません。
ランサー系サイトに盛り上がって欲しい理由
クリエイターが勝負するフィールドとしてパッと思いつく方法は、どれも熾烈なものばかり。熾烈な中で同業者同士摩耗し合うのであれば、競合や摩擦を避け、仕事を手に入れやすい環境を見出すというのが考えられます。
ランサー系サイトに盛り上がって欲しいのは、環境を整備することで、クリエイターが「食業」となる最短経路のひとつになりうると判断したためです。
ランサー系サイトに期待する要因
クリエイターとクライアントのマッチング
当然なんですが、仕事を依頼したいクライアントと、仕事を請け負いたいクリエイターとを結びつける場という点は重要です。特に実績に乏しい駆け出しのクリエイターなどにおいては、実績の有無に依存せずクライアントに見知ってもらえるチャンスが広がるといえるでしょう。
業界関係者以外の顧客の発掘
特に音楽では顕著ですが、音楽系クリエイターが仕事を得るには、音楽制作、映像、ゲームといった、音楽そのものないし、音楽を使ったコンテンツの販売をする事業者に対しての需要が高いです。しかし、業界関係者の案件については、クリエイターの供給過多になること、それを見てのクリエイターの買い叩きなど、様々な問題があり、競合を押しのけて仕事を手に入れたとしても、コラテラル・ダメージは計り知れません。
ランサー系サイトという、クリエイターがほしい時にクリエイターとのコンタクトが取れる場を認知させることで、業界関係ではないシーンにおけるクリエイターの需要に応えることができます。そういう界隈において、業界でバリバリ働いている敏腕クリエイターに、果たして制作をお願いしたいと思うでしょうか。おそらくは敬遠すると思われます。
個人クリエイターの小回りの良さを活かせる
業界関係者ではない、普段クリエイターに仕事を頼むことと縁遠い人にとって、仕事の依頼はわからないことばかり。ランサー系サイトなどで見知ったクリエイターは、業界で活躍する人よりも精神的な敷居が低く、頼みやすい存在であるといえるでしょう。
交渉に対する監視を行い、健全な業務交渉ができる
個人対個人(法人対個人)の交渉ができるとは言え、その場を提供する責任者として、いざという時には通報することができるシステムを有すれば、クライアントの不当な買い叩きおよびクリエイターの実績欲しさによる相場を逸した価格の提示について、改善要求、場合によってはアカウントの停止など、交渉の場を乱す行為に対して毅然とした対応が取れるでしょう。
権力の干渉を抑え、不当な扱いから守られる
個人のクリエイターが1クリエイターとして交渉することができるので、不当な買い叩き事案についてはNoを突きつけることができます。また、前述しましたが、交渉に対する監視を行うことにより、請負前途における横暴がひどい場合は通報することもできます。
上記については、現在ランサー系サイトが備えているシステムと、今後ランサー系サイトのシステムがこうあってほしいという願望の両方を掲示してあります。
ランサー系サイトの問題点
しかし、ランサー系サイトについては、クリエイターが知っての通り、とてもじゃないですがそれだけで本業を確立することはまず無理なのが現状です。様々な問題がありますが、まとめてしまうと、ランサー系サイトの整備が追いついていない事に有ります。
適正相場が表示されていない
ロゴデザインについてはどれぐらいの相場がある、ランサーはどれぐらいで引き受ける傾向にある、など、具体的な数値が明記されていることが多いですが、クリエイティブ関連については明確な価格が表示されていないのが現状です。
その理由としては、個人での請負については、1000円単位で請け負うものから数万円までと幅広いこと、個人と法人では同じ業務内容でも値段が異なるなど、適正な制作価格が見えにくいところが有ります。
適正相場が表示されていないため、クライアントはこれまで仕入れた都合のいい情報で交渉をすることが多くなり、結果として4桁報酬の楽曲制作…酷いときには500円とかそういうものもあります。また、明らかに常軌を逸した価格の提示案件に対し、それを理由とした通報もできません。もちろんそういう案件にエントリーしなければいいだけの話ですが、 クリエイターが全員そうするとは限らないし、エントリーするクリエイターが少なくなれば、競争が減ることで実績の積み重ねを狙ってのエントリーするケースを助長する結果となりかねません。
実績件数の合計表記
クリエイターはどれだけクライアントの業務を請け負ったのか、これが数値として表記されます。
- 作曲:4件
- 編曲:5件
- ミックス:2件
合計は11件で、実績数は11と表示されます。
これが何故問題かというと、クリエイターは自分が請負可能な仕事に対してエントリーすることができるということにあります。例えば、これはどうでしょうか。
案件:ご当地アイドルの楽曲制作
報酬:7万円(※あくまでも理想の金額です)
エントリーした人
- Aさん(プロの音楽制作者) 実績0
- Bさん(駆け出しの作曲家) 実績1
- Cさん(?) 実績36
このラインナップを見る限り、おそらくCさんに依頼したいと思う人は多いと思います。なぜなら、36件も仕事を請け負い、完遂した実績を持っていると表記されているからです。仕事をする上で、実績を持つことは信頼の証である以上欠かせません。
しかし、Cさんの実績がこうだったらどうでしょうか?
- イラスト制作:10件
- 文字起こし:20件
- 対談に参加:6件
これでも、実績は36と表示されます。
特定の仕事を請け負うために、それとは関係ない別の仕事で実績を稼ぐことが問題であると考えます。もちろん、実績数を稼ぐために、前述した通り誰もやらなさそうな安請負に手を出すということも考えられます。
クリエイターを買い叩く場所という認識の蔓延
これについてはまっとうに活動しているクリエイターも決して悪くないとはいえないのですが…それでも、今のランサー系サイトは決して、クリエイターを「食業」とするには値しないとしかいえません。クライアントは相場を大きく下回る報酬を提示することばかり、肝心なクリエイターも実績欲しさにそれに乗じてしまう…
しかし、だからこそ、この状況を是正しなければいけないと考えます。
ランサー系サイトを整備すれば、オンラインで仕事を請け負う個人クリエイターにとって、適正な価格で小回りの利く仕事ができる場になりうるからです。
とはいえ、それを整備するには、クリエイター、クライアント、ランサー系サイトそれぞれの努力が必要となるので、一朝一夕には果たせないことだとは思います。
ただ、オンラインで個人対個人で仕事を請け負うのであれば、そのためのツールを使いやすくするのは、その世界で生きる人の必要な努力であると思います。