皆さん、おはようございます。
制作環境を向上させようということで、フィジカルコントローラーの導入を検討して1ヶ月…ついに手に入れました。
X-touch miniです
ベリンガー社製のフィジカルコントローラー(midiコントローラー)
※下に敷いているゴムは付属しません
パッと見ではわかりづらいのですが、midiキーボードの1オクターブ半ぐらいの幅です。数値を出すと25cm程度、iPadの横幅ぐらいの非常にコンパクトなサイズです。
しかし、これを手に入れるために東京中の楽器店を回るもすべて空振り、結局サウンドハウスのお姉さんに頭を下げてもらうことに至りました。
Spec
LEDゲージ付きのダイヤル(押下可能)が8つ、ボタンが16個、それぞれにmidi情報をアサイン可能です(後述)
ダイヤル部分は周囲にLEDゲージが配置されていて、右にひねると時計回りにLEDゲージが点灯するなど、パッと見でアサインしたコントロールのステータスがわかるようになっています。ボタンも同様に、ONの時に光ります。
右側です。
魅力的なのは、写真の真ん中にある60mmフェーダー。
ボリュームコントロール、エクスプレッション操作ももちろん可能ですが、何と言っても60mmという可動領域の長さ。単純計算で1cm動かしてエクスプレッションが20程度変動するので、ちょっと上げた程度だと2,3程度しか数値が変動せず、大胆に動かしながらも微細な表現が可能です。
但し、モータライズ(※DAW上でフェーダーを動かすと連動して上下する機構)されてないので、ボリュームコントロールをリアルタイムで行う際には、DAW上のトラックボリュームのフェーダー位置に気を付けながら調整する必要はあります。
フェーダーの右側にあるのは、ABレイヤー切り替えボタン。
ハード自体には8つのダイヤルと16のボタン、1つのフェーダーですが、ABレイヤーが存在することで、実質2倍のコントローラを持っていることになります。ちなみにMCモードというレイヤーもあるので、実質3倍のコントローラーですが…
操作方法
主な使い方としては2つあります。
midiコントローラーとして使用する場合、例えばレイヤーAのダイヤルには左からアタックタイム、リリースタイム、カットオフ、リバーブミックスを、ボタン部分にノートオンやプリセットの順送り/逆送りを設定させれば、マウスもmidiキーボードも使わずに音選びや音作りをすることができます。
DAWのショートカット用として使う場合、再生、停止、順送り/逆戻しなどのトランスポートとして、トラックソロ・ミュートなどのコンソール的な使い方もできるでしょう。もちろん、よく使う機能をキーボードではなくX-touchのボタンにアサインしたいという使い方でもいいでしょう。
エディターを併用する
無料ダウンロードできるXtouch Editorを使えば、ファクトリーセット(工場出荷時設定)ではなく、midiコントローラーとして使えます。Encoders(ダイヤル回転・ダイヤル押下)、Buttons(16ボタン対象)、フェーダーにmidi情報を設定できます。
CC:コントロールチェンジ情報。フェーダー・ダイヤル回転に対応
Note:ノートオン/ノートオフ情報。ボタン・ダイヤル押下に対応
Pitch Bend:ピッチベンド。全コントロール部に対応
Program Change:プログラムチェンジ。絶対値、インクリメント・デクリメントが設定可能
MMC:Mackie Controlコマンド。再生・停止・順送り・逆戻しなど…。ボタン・ダイヤル押下に対応
ダイヤルにもボタンにも設定できるステータスは、ダイヤルに設定するか、ボタンに設定するかで、作り方や性格が出ると思います。ピッチベンドであれば、ボタンに設定すれば連打してトリル奏法ができたり、フェーダーに設定してベンドレンジを狭くすれば、弦楽器のような細かなビブラート(モジュレーション)を表現することもできるでしょう。
midi情報の設定だけでなく、ダイヤル部のLEDの光り方を調整したり、ボタン押下時の挙動(Momentary:押下中だけ有効、Toggle:押下のたびにON/OFFが入れ替わる)を設定できるなど、midi情報と対にして設定する事ができます。
早速実践してみました
Logicを立ち上げ、Compresserをセット。
コンプレッサーにはいくつかのパラメーターがあるので、Command+Lでコントローラアサインメントを呼び出し、コンプレッサーの左側のパラメーターから順に、パラメーターをクリックしてXtouch本体のダイヤルを回し、アサインしていきます。
これで、Xtouchのダイヤルを回すと、スレッショルドやレシオがリアルタイムで変化するようになりました。
▲ダイヤル1をコンプレッサーのスレッショルド、EQのローカット周波数に設定
同様に、EQでもバンドごとにゲインを調整したりと、なかなかノリノリな感じでアサイン作業は進んでいきました。EQのローパスフィルタをダイヤルで動かせるようにすれば、DJプレイのようなフィルタのリアルタイム変化も実現できます。
Xtouchの欠点
しかし、ここに来て問題点にぶち当たることに。
LogicはEQを設置すると、チャンネルストリップの上側にどんなEQ設定が施されているかプレビューが見えるのですが…コンプレッサーのスレッショルドを調整すべく、一番左のダイヤルを回していたところ、EQのプレビューが変化することが発覚…EQの操作をアサインした際に、一番左側のダイヤルを回すと、ハイパスフィルタの周波数が移動するように設定していた。
つまり、EQとコンプレッサーが挿されているトラックを選択中にダイヤルを回したりボタンを押下すると、そのボタンに機能が設定されたプラグインすべてのパラメーターが一括して変動してしまうのだった。EQのゲインを調整している間に、同じトラックに挿されたコンプレッサーの設定が変動してしまっては元も子もありません。
想像していたのは、プラグインのインタフェースを開いているときにだけダイヤル操作などが有効で、アクティブじゃないプラグインには影響しない挙動だったのですが、一括して動いてしまった…これでは「ハードウェアエフェクタに触れるような操作感覚」を実現することができません。
また、X-touchエディタはWinPC用しかなく、Mac上では設定ができないため、エディタ情報を実機に送信するにはWinPCが必要となります。また、記事作成段階では試行時間が短いこともあり、MCモードを呼び出せない、再生、停止などのMCコントロールコマンドが効かないなど、設定までに時間と工夫が求められます。
とはいえ、60mmフェーダーはミックス、エクスプレッション入力などで非常に魅力的であり、入力や操作が手元で簡単にできるようになれば、制作にかかるコストが下がることが期待できます。
使いこなせるようになりたいですね。
後半へ続く…!