クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

リハーサルスタジオでのレコーディングが難しい理由

皆さん、おはようございます。

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東京に出てきて間もなく1年…

ボーカルや生楽器演奏の録音のため、お抱えの音楽スタジオを確保しようということで、税務署に確定申告の書類を手に入れるついでに回ってまいりました。

が…

音楽スタジオって2種類なくね?

一口に「音楽スタジオ」というと、おそらく2つのイメージが有ると思います。

 リハーサルスタジオ

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主に、個人からバンド練習まで、楽器演奏で音を出すことを目的にしたスタジオです。

主な特徴としては…

  • 防音環境が整っている
  • ドラムセット、ギターアンプ、マイクなど、楽器演奏に必要な機材が揃っている
  • 簡素だがレコーディングもできる
  • 調音については申し訳程度
  • 大都市周辺ならあちこちにある

(※あくまでも個人的な判断です)

簡単にまとめると、「リハーサル」という名の通り、楽器演奏やバンド練習などには向くということです。

レコーディングスタジオ

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その名の通り、録音を主体とするスタジオです。

巨大な卓(コンソール)と、壁にめり込んだモニタースピーカー、高そうで作業に適した椅子、吸音材で敷き詰められた壁面、分厚いガラスで隔てられたレコーディングブース…ここから名曲が何曲も生まれていった…

主な特徴としては

  • 防音環境が整っている
  • デッドに近く整えられた音響特性
  • 楽器練習には向かない
  • (エンジニアなども必要なため)高い
  • あちこちにはない

(あくまでも略)

簡単にまとめると、録音をするためのスタジオであり、リハーサルスタジオとは全く持って別物ということです。今回巡ったのは、前者、リハーサルスタジオの方です。

それでは、本題に参りましょう。

リハーサルスタジオでのレコーディングは難しいのか

リハーサルスタジオ(以下リハスタ)では、楽器の音は気兼ねなく出せる、防音がしっかりしているなど、ボーカルや生楽器の演奏を録音することには適した環境ではあります。

果たして、リハスタを使っての録音は実用的なのでしょうか。

 

結論から言うと、高品質に拘るのであれば不向き、ということです。

 

決して無理というわけではありませんが、リハーサルスタジオを使ってレコーディングをするとなると、実用的なクオリティでの録音にはものすごく気を使う必要が出てきます。

今回、リハスタを巡って気づいたことを挙げつつ、吟味したいと思います。

リハスタでのレコーディングが不向きな理由

機材が貧弱

リハスタには申し訳程度のミキサーやCD-Rレコーダーなどが備わってはいることが珍しくないですが、余程慣れていない限り、これら機材を駆使してレコーディングすることは手間がかかると思います。

そうなると、録音目的でリハスタを借りるとなれば、最初から録音機材一式を持ち込むことになりますが、機材を準備するお金と、それを搬入搬出する手間が必要となります。

音場が良くない

リハスタは周囲に音が漏れないように遮音はしっかりしていますが、吸音や音場調整などは特にされていません。せいぜい要所要所に吸音ボードがくっついている程度です。

そもそも、リハスタ自体がバンド演奏などを主体とする場所であり、レコーディングを目的とした過度な吸音は、部屋鳴りを無くしてしまい、それが出音の低下に感じてしまうことにもなりかねません。あまりいないとは思いますが、「このスタジオは響きがなく、自分の音が下手くそに聞こえるから利用したくない」という理由から敬遠するケースも否定はできないものです。

遮音性に難あり

前項で「周囲に音が漏れないように」と挙げておきながら矛盾めいたことを言っている気がしますが、どんなに遮音を意識しても、完全に外の音をシャットアウトすることはできません。ベースやキックなどの低音は振動として容赦なく突き抜けてくることがあります。

リハスタには複数のスタジオがあり、それぞれでいろいろな練習が繰り広げられます。そしてコンデンサマイクを使えば、聴こえないような音もはっきりと拾うことがわかります。ボーカル録音やアコースティックギターなど、ダイナミクスや空気感を重視する楽器の場合、その録り音にも容赦なく隣のスタジオの音が混ざり込みます。

理想のスケジュールを取れない

理論上、自分が録音する時だけ他のスタジオが空になれば問題はないのですが、まずそんなことはありません。土日や夜は利用者が多く、平日昼は会社員などの平日昼間の勤務体制の人であれば利用できません。しかも基本的に利用する日よりも前に予約をする必要があり、誰も利用者がいない時間を狙って利用するのは難しいでしょう。

 

というわけで、リハーサルスタジオで録音することについて考え、高品質な録音をすることを考えると、レコーディングスタジオに出向いたほうがいいという結論に至りましたが…レコーディングスタジオでの収録は余程のことがない限り踏み込めないような敷居の高さだったりすることに気づいてしまう…

そうですね…ボーカル曲1曲制作に50万円ぐらい請求したいくらい。

 

でも、レコーディングスタジオには一度見学に行きたいものです。