クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

笑うのは体にいいですよ!

皆さん、おはようございます。

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健康というのは、何も肉体が健やかであるという、フィジカルな要因だけではありません。考え方や心のあり方といった、精神が健やかであるということも含まれます。特に精神的な健やかさについては、肉体的な健やかさよりも遥かに維持管理が難しい気がします。私生活でも精神的な健やかさを削りながら生活するケースは、決して少なくはありません。

今回は、心の健康を維持するうえでポピュラーな、「笑い」について考えてみたいと思います。

 

笑うのは体にいい

健康番組などで、度々言われるのがこれですね。

笑うことが何をもたらすのか

ストレスの解消・脳の活性化

笑うことによって脳内ホルモンが分泌され、幸福感を増し、ストレスを低下させます。

また、ポジティブな思考をするようになります。

自律神経の調整

笑うことで副交感神経が優位になり、リラックス効果をもたらし、交感神経優位の状況を緩和します。また、腹式呼吸が中心になるため、酸素の摂取量も増えて新陳代謝も活発になります。

免疫機能の向上

免疫細胞の活動が活発化します。また、癌や心臓病などの生活習慣病の予防にもつながります。

 

以上のように、笑うことについては健康にいいと、論文の発表を含めて紹介されています。特にストレスフルなこのご時世、笑いというものが特効薬になりうるのです。近い将来、医者からお笑いのDVDを処方される日も遠くないのかもしれませんね。

 

というわけで、笑うことは体にいいというお話でした。

おしまい。

 

…終わっちゃダメだ。

改めて「笑うことが体にいい」ということを考える

笑うことが体にいいというのはわかりましたし、笑うことが恒常化している人が健康面でアドバンテージが有るという証明も論文をもって形になっていることもわかりました。しかし、本題はそこではありません。

…その前に、こちらの話題を思い出してみて下さい。

赤ワインを飲む人は飲まない人に比べて健康

20世紀末、「ポリフェノール」という単語が流行るきっかけを生み出した元凶。

簡単に言うと読んで字のごとく、普段から赤ワインを飲む人は、普段飲まない人と比べて健康であるという説が広まり、空前の赤ワインブーム。そして、赤ワインのようにポリフェノールと言われる食品の色素や苦味成分を含んだ、コーヒーやウーロン茶、チョコレートなどの流行に波及するのでした…

ですが近年、赤ワインを飲む人は飲まない人に比べて健康であるという理由が、赤ワイン自体にないことが判明するに至りました。そもそも赤ワインを常飲する人は、経済的にも裕福で、時間に追われずストレスが低い、健康維持のために時間を使えるなど、赤ワインを飲む以外の心身の健康を維持するファクターを多く持っていました。赤ワインを飲むことが健康たらしめる要因ではなく、健康たらしめる生活をする人には、経済的に生活に余裕があり、赤ワインを引用する傾向が強かったというだけの話でした。

直近だとこういう話題もありましたね。

ひじきに鉄分は殆ど無い

 

tenki.jp

 ひじきと言えば、鉄分を摂取するために積極的に食べろと言われる代表格。しかし、近年、ひじき=鉄分豊富というイメージは崩壊しました。

これまで、ひじきを鉄釜で茹でていましたが、それがステンレス釜を使うようになってからひじきに含まれる鉄分の含有量が大幅に減少しました…察しはつくでしょうけど、鉄釜で茹でていたことにより、鉄釜の鉄分が溶け出てひじきに吸収されたため、ひじき=鉄分豊富というイメージたらしめるに至ったのです。

 

…というわけで、本題に戻りましょう。

笑うのが体にいいというのも同じなのではないだろうか

笑うことが健康にいいというのはわかりました。しかし、笑って健康的な生活が、果たしてできているのでしょうか。

筆者のエピソードを交えて紹介します。

以前、飲食店でバイトをしていた時、あまりにも店が忙しい状況をほとんど自分一人で回していたことがありました。昼前からずっと休憩無しで動きっぱなし、休憩を取ろうにも控えの人が来ないので取りようがない、労働基準法で休憩を取らなければいけない時間が迫り、何よりお昼を食べてない状況でパフォーマンスは目に見えて激落ちしていました。

そして夕方になろうとした時、ようやく次の時間帯の人が入店準備に入りました。思わずバックヤードに駆け込みました。

「休憩が取れないんです、早めに入って下さい」

もはや直訴のレベルでした。

なんとか早めに入店してもらい、休憩とともに遅い昼食にありつけました。

まかないを食べた時に出た、大きなため息と、乾いた笑いを、今も決して忘れません。

緊張から解放された時に、初めて笑いがこぼれました。

笑うのは確かに身体にはいいです。しかし、笑いがこぼれるような心境でなければ、笑うことなどできませんし、笑いを享受できる余裕のない生活をする人は、思う以上に多いのではないでしょうか。

笑うことができるというのは、それだけ安心した状況だから。笑うことが体にいいのは、笑うことができる状況にあって初めて成立するのではないでしょうか。

特に、クリエイター業については、ふとしたことで笑いとは縁遠い生活に陥りやすいものだと思います。日々の仕事に追われるならともかく、生活リズムを大幅に乱したり、プロになるためと個人練習という名の目的なき作業を続けたり、営業のために摩耗したり、コンペの名の下に同業者同士で殴り合い、仕事が取れないことへの不安に苛まれたり、副業をしないと生活を維持できずろくに休めなかったり…それでもなお世間からは「好きなことで仕事をしてるんだろ」と仕事の苦労話を非難されたり仕事を買い叩かれたり…クリエイターから笑いの機会を奪うファクターは、決して少なくありません。

だからこそ、クリエイターが仕事に集中できて、しっかりとした報酬を得ることができて、世間がそういう働き方に対して理解を示してくれる…そうなるだけでも、クリエイターの抱える不安は和らぎ、自然と笑いがこぼれる生活につながるのではないかと考えます。そうなれば、見える世界も変わってきますし、クリエイター業を目指す人が増えてくると思います。

 

笑うことは体にいいんです。

だから、笑うことができる生活を、手に入れたいのです。

 

クリエイターを、「食業」に。