クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

無料サービスと有料サービス、どっちが得なのか(運営編)

皆さん、おはようございます。

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最近「利用料無料」を謳うマネタイズサービスがCMでも頻繁に広告されますが、正直なところ「無料だと儲かるのかな…」とは思うこともあります。

もちろん、利用する側からすれば、無料であれば費用が発生しないため、そのサービス上での売り上げは営業利益になります。つまり、税金以外にそのサービス利用に伴う直接的な出費は発生しないということです。

しかし、運営する側はそうはいかないでしょう。

サービスの開発費、サービス運営のためのスタッフの常駐、サーバー管理費など、単純なランニングコストが多くかかります。にもかかわらず、利用する側が完全無料でも果たして割に合うのでしょうか。

※場合によっては利用者側に支払いが発生するオプションなどもあります

ここでは、サービス利用について

  • 基本無料で運用するケース
  • 基本有料で運用するケース

で考えたいと思います。

 

基本無料で運営するケース

プレミアムプランやオプションなどに課金が発生する場合がありますが、最低限の場合においては無料でサービスが利用できるケースです。

無料のメリット

無料なので人が集まりやすい

無料サービスの最大のメリットはこれでしょう。

とにかく利用者を集めやすい。

利用者が集まれば、数打って当てやすく、その中から有望な人をキープできれば、そのサービスの存続に貢献するでしょう。

無料は魅力

無料を打ち出すことは、宣伝に使えます。

また、競合する他社サービスと比較しても、ある程度であれば「無料だからまあ多少は大目に見るか…」と緩衝材になり、即見限られることも少ないかと思われます。

無料のデメリット

放置アカウントが増えやすい

無料というのは、入るための敷居が低い反面、出ていく敷居も低いものです。

始めたはいいけど、飽きたり面倒になったりと、登録してそれっきりのアカウントが増える懸念があります。無料だから放置したところで、登録した側は何の不利益も発生しないわけです。

特に登録したアカウントと顧客とのやり取りを仲介するサイトであれば、検索時に放置しているアカウントが引っかかれば、顧客からすればノイズにしかなりません。それがサービスの評価に直結することもあるでしょう。

サービス利用者の質に懸念が多い

無料で誰でも登録できるとなれば、登録者が提供すべきサービスの質もピンキリ。

顧客の求めるサービスの質に登録者のサービスの質が追い付かなければ、登録者だけでなく、それを仲介しているサービスへの苦情や低評価につながりかねません。

もちろん、それを防ぐべく、審査をしたり不適切なアカウントを注意するなどするでしょうが、そのために運営費がかかるのは言うまでもありません。

管理費が大きく膨れ上がる懸念

無料で門戸を広くすれば、登録者数は増え、その分だけ登録者に割り当てるためのサーバー容量は増え、先述したようなクオリティ管理のための管理費も増えます。

基本無料なので、アカウントが増えても管理費を補う最低限の担保もありません。

基本有料で運営するケース

月額いくらで利用するサービスです。運営する側からすれば、単純計算で利用者×月額分の運営費回収が見込まれます。

有料のメリット

利用者のモチベーションが高い

基本無料と違い、放置していても毎月の支払い義務は発生します。

そのため、登録したけど放置、という事態は少ないと考えるのは容易いものです。

また、有料でありながら利用するということは、利用者が月額分を補うだけのサービスを提供できると自負する人が多いのではないでしょうか。少なくとも、月額分が損失になることを知ったうえで、あえて有料サービスを選ぶとは考えにくいものです。

利用者のレベルがある程度担保される

同じく、有料である以上の利益を上げることができると自負できる人が利用するので、自然とある程度のレベルのサービス提供が見込まれると思われます。

そうなれば、アカウントのサービスレベルを見張ったり、顧客とのやり取りでのトラブルも自ずと少なくなり、サービス運営におけるトラブルの懸念は、無料のそれとは大きく差があることでしょう。

運営費のある程度が担保される

最大のメリットはこれでしょう。

もちろん、アカウント数×月額料金で運営費すべてをまかなうことはできないでしょうけど、それでも最低限のキャッシュフローが担保されるので、運営する側としても「どれだけの売り上げ目標が必要か」を見出しやすく、運営戦略も立てやすくなるでしょう。

有料のデメリット

未来の有望株を足切りする可能性がある

当然ながら、「月にいくら稼げるか」で足切りすることになります。

そのため、「今は戦力外だが、サービスを利用していくにつれて成長していき、ゆくゆくはサービスを支える有望株になる」ケースについても、足切りしてしまう懸念はあります。

その足切りした人が、競合する無料サービスに流れ、そこで開花したとすれば、逃がした魚は大きいものです。

競合サービスに劣ると判断されると離れていく

有料というのは、当然「無料にはないもの」を利用者は求めてきます。

もしも無料サービスと比べて、サービスの質が悪い、実績につながりにくい、サポート対応が悪いとなれば、無料サイトよりも見限られやすいでしょう。

特にサポートの悪さでトラブルになった日には、「毎月料金を支払っているのに…」と、無料サービスと比べてそのヘイトは増大することが容易に考えられます。

無料でもやっていける理由

では、無料を謳っているサービスが、なぜ無料でも運営を続けていけるのでしょうか。

有料プランからの集金

作品を販売する場合、作品登録に使用するデータスペースが無料プランよりも大幅に多い、クリエイター紹介用のオプションが無料アカウントよりも充実しているなど、無料での利用者よりも有利になるオプションを有料にて提供することで、その分を収入につなげることができます。

案件成立時にマージンを徴収する

最も多いのがこれでしょう。

物が売れた、顧客と利用者で案件が成立し、利用者に支払いが行われたなど、その際に中間マージンとして取引金額の一定割合分をペイするというものです。

広告運用

「スポンサード・リンク」など、サイト上に広告を掲示したり、ニコニコ動画の「ニコニ広告」のような、支払いをすることで支払ったアカウントの情報が顧客とのマッチングの際に優遇されるなどといったものです。単純にそのサービスに協賛している他企業の広告を掲示するケースもあります。

ただ、スポンサード・リンクのように、アトランダムに広告を表示する機能については、読み込まれた瞬間に別のサイトへと強制的に飛ばされてしまう「リダイレクト広告」が問題視されたことなど、好意的に思わない人も少なくはありません。

運営会社からの資金補填

サービス自体が黒字ではなくても、それを運営している企業自体が他部門の収益をサービスの補填に充てることもあります。特にサービス開始序盤は認知され利用されるまでは黒字にはなりませんし。

但し、運営会社自体の運営が傾き始めると、真っ先にサービス終了で切り捨てられる可能性があります。

 

副業を許可する企業が増えるなど、これから副業に対するマネタイズの意識は、高まってくることが予想されます。

副業で収益を上げるというのは、決して簡単なことではありませんが、副業という形で自分のスキルや労力を販売し、それがお金になるということに気づけば、それが巡り巡って、クリエイター業を始め、様々な業種の働き方に対する意識がいい方向に変わるのではないかと期待するところです。