投資すべきは何か
皆さん、おはようございます。
一人暮らしを再開してから2ヶ月あまり…
GW辺りも隠れた引越しシーズンで、引越し業者の車が道狭しと住宅街のど真ん中を走っていく光景を目にすることが多かったですね。まあ転勤だとGWを使って引っ越ししろ、と言うこともあるのかもしれませんが。
それはさておき…
クリエイターが投資すべきは何か
もちろん制作に必要な機材ですが、一人暮らしを考えている方にとってはそれ以上に投資すべきものがあります。結論から言ってしまいましょう。
住居に投資すべき
おしまい。
…終わっちゃダメだ。
一人暮らしを開始するとなると、どうしても機材の他に、資金を準備する必要があり、それも大体希望するスペックをもった物件を条件とした最低限の見積もりであることが多いと思われます。
これが正社員として勤務するために単身赴任するというのであれば、極端な話、雨風しのげて寝起きできれば十分でしょう。しかし、クリエイターとして仕事がしやすい場所に単身赴くというのであれば話は別です。
なぜなら、住居だけでなく、仕事場にもなりうるわけですから。
つまり、住居に投資するということは、仕事場にも投資するということになります。住み心地はともかくとしても、仕事をする上でパフォーマンスを落とさない環境が求められます。
交通の便について
車での移動を要するなら、駐車場が居住地から近く、駐車場のセキュリティもしっかりしていること…車も商売道具なわけですから、何かあれば当然仕事に甚大な影響を及ぼします。
電車を使うケースが多い、もしくはそうなる可能性が高い場合は、駅に近い場所に住居を構える必要もあるでしょう。例え現場やクライアントの所在地から近い駅を最寄りにしていても、駅から歩くというのであれば、その分だけ遠い場所に住んでいることと同じですし、体力も消耗します。バスを使わないと困難な場合、終バスが終わってしまった場合のことも考えなければなりません。
電気について
一人暮らしでも、できれば30Aはほしいところです。特にクリエイター業は電気がなくては話にならないことが多く、電気容量が低いことは、機材を動かすには十分だとしても、その分だけ電気周りについてリスクファクターを抱えるということになります。
作業用機材を動かして、空調をかけたらブレーカーが落ちた、これがいかに大きなダメージを与えるか、それは想像するに容易いでしょう。
遮音性について
主に音楽制作や音響に携わるクリエイターやエンジニアが気にすると思いますが、それ以外のクリエイターや、別にクリエイターじゃなくても気にした方がいいと思います。
アパートとマンションでは、遮音性、防音性が大きく違います。どんなに色々と手を施しても、アパートで庶民的な防音対策をするには限界が見えます。アパートで堅牢な防音対策を施すというくらいなら、最初から鉄筋コンクリートのマンションに住んだほうがいいです。
ご存知だとは思いますが、音楽スタジオの壁に貼られている吸音材自体にはまっとうな遮音効果はありません(貼らないよりはマシ程度のレベル)。防音カーテンも、人の話し声よりも低い音に対してはほとんど遮音効果がありません。
そして、どんなに遮音を施しても、振動は防げません。アパートの防音性に限界が見えるのはそのためです。音が部屋の外に漏れないようにしても、低音が振動となって建屋を震わせ、それが隣や上下の部屋に伝わることがあります。
低音は低音楽器じゃない楽器の音にも含まれていることが多く、知らず知らずの間に振動を隣人にもたらしていることもありますが、何も楽器や音楽制作の音だけでなく、足音や洗濯機の駆動、扉の開け閉めの音にも含まれます。
賃貸物件で楽器NGと言われるのは、楽器の音の音量を調整できないこと、打鍵や打面といった演奏に伴う振動が主な原因とされています。
セキュリティについて
築年数が古い物件でも内装がそれなりにリノベーションされてたりしていますが、窓やドア、共有部分などは特に替えてないということも。ドアロックがお粗末、洗濯機が共用部分にある、生活の様子を外から見られるなどのプライバシー問題のほか、招かれざる客が立ち入りやすいなどもあります。特に女性の場合は、ストーカー被害や不法侵入者に対する自己防衛として、高くても入り口オートロックの物件を選ぶなどしてもいいでしょう。
隣人について
家賃の安い物件では、学生が友達を連れ込んで夜遅くまで騒いだり、ちょっとの物音でも乗り込んでくるなどのトラブルメーカーが住んでいる可能性もあります。もちろん家賃が安い=居住者の質が低い、とは一概に言い切れませんが、筆者が大学時代に住んでいたアパートは単身学生が多く、日付を回っても騒いでるということが結構有り、物件の掲示板にも周辺住人からの苦情の旨を書いた通知書が掲示されてたりもしたので、ある程度の相関性はあると思います。
耐震性について
首都圏大地震が懸念されるようになり、関心は高まっているとは思えますが、スペックが良くてその割に家賃が低い物件は、築年数が経過している事が多く、経年劣化に伴う耐震性の不安も有ります。首都圏大地震の懸念もそうですが、未だに東日本大震災の余震とみられる地震活動は続いていますし。
最近では、武蔵小杉など東京周辺で高層マンションが建つなど、物件のターンオーバーが顕著であり、今後は単身者用マンションがそれなりに増えてくるでしょう。
やはり、賃貸物件にはランニングコスト(つまり家賃)が高くてもそれなりに投資しておく価値はあると思います。しかし、本当の理由は上記だけではありません…
居住地は拠点である
これに尽きます。
仕事に向かうのであれば、仕事を終えて帰ってくる場所。
仕事をするのであれば、職場であり住居である。
拠点とは、拠り所という意味。心の、身体の、生活のあるべき場所。
しかし、そんな拠点がもし、トラブルを抱えたら、どうなるだろうか。
仕事に疲れてせっかく自宅に帰ってきても、居住地周りでトラブルが起こっていたら、果たしてどこに帰ればいいのか。自宅で仕事を進めている時に、職場環境や周辺でトラブルが起こったら、その対処にコストを奪われてしまう。特にクリエイター業という感性を必要とする仕事において、トラブルにより損耗することは、著しいパフォーマンスの低下を招くことになる。
そして何より…
「こんなところに住みたくない」
「こんなところで仕事したくない」
「こんなところに帰りたくない!」
こういう思いに苛まれ、最悪精神を病んでしまう。そうなれば、クリエイター業の最期、誰も助けることのない孤独と地獄があるだけです。
そうならないに越したことはありませんが、家賃が安い物件ほど拠点たる存在を拒む要因は多いと思われます。
もしトラブルに巻き込まれたら
住人同士のトラブルの場合
大体の賃貸物件は不動産屋さんが管理しています。
トラブルが起こった日時、内容を記録し、それが常識の範疇であるかを判断し、不動産屋さんに相談しましょう。不動産屋さんはそれを元に、当該住人に対して注意を行いますが、その際に誰が相談を行ったのかを伏せて行います。間違っても直接注意しに行くのはやめましょう。何度も同じ状況が続くのであれば相談を続けることで、最終的に当該住人を不動産契約に基づき退去させる権限を不動産屋さんは持っています。
不動産屋さんにもよりますが、契約の際に必ず住人同士のトラブルについて説明をしてくれます。「住人同士のトラブルの場合は基本当事者間で解決する」とは言っていますが、それでも不動産屋さんに相談してしまって構いません。下手に当事者間でトラブル解決をしようとしても無用に事を荒らげることが多く、その結果刑事事件にまで発展すれば、不動産屋さんにとっても大きな被害を受けることになるからです。
もし、その不動産屋さんが管理している物件で住人トラブルによる殺人事件が発生したらどうなるでしょうか。
その物件はいわくつき物件となり、もちろん物件としての紹介はできるわけもなく、それに伴う退去者が出ていってしまうことも。大家からは物件からの収入の途絶や不動産価値の低下、契約者の審査事情について苦情を突きつけられることにもなり、賠償請求にも発展しかねません。不動産屋さんとしても大きな損害を被ることになります。だから、基本的に当事者間で解決と言っても、無理に当事者間解決を図らず、不動産屋さんに相談するほうがいいのです。
住人以外のトラブルの場合
基本的には住人同士のトラブルと同じ流れになりますが、不動産屋さんが手の打ちようがない場合は、素直に警察に相談することになります。「不動産屋に相談した結果、警察への相談を勧められる」ケースもあるので、まずは不動産屋さんに相談、になると思います。
招かれざる客人の場合
言ってみれば、セールスや勧誘と言った類です。
これについても不動産屋さんに相談ですが、不動産屋さんが対処できないことがあります。「セールスのための敷地内立ち入りを禁止してほしい」という意見を物件の1居住者が申し立てても、他の居住者がセールスを必要としている可能性を否定することはできないため、不動産屋さんの判断でそれを禁止とすることはできません。
但し、他の居住者も同じような苦情を申し立てた場合や、大家に直接申し立てができる場合は、不動産屋さんが動く可能性が有ります。なので、不動産屋さんに相談するということは決して無駄なことではありません。管理している物件がトラブル無く運営できていること、不動産屋さんからすればそれが一番であることは言うまでもないですから。
招かれざる客人が帰らない場合
「家主が退去を命じたにもかかわらず退去しない場合」は、玄関の内外、共用部分を問わず不退去罪が成立するようです。(玄関前ではない共用部分でも、退去を命じた家主や居住者との接触を目的とした居座りが続いた場合でも適用されるようです)
但し、家主が退去通告を明確にしない場合、不退去罪が成立しません。また、退去通告をして即通報も、退去準備が不十分ということで、お咎めなしになる可能性があります。
また、セールスや勧誘による物件への訪問は「正当な目的」での訪問なので、正当な目的を持って動いている段階での不退去罪は成立しません。「あ、セールスマン発見!不退去罪だ!!」で通報しても取り合ってはくれないでしょう。
招かれざる客人については、基本玄関越しでの対応など、物理的に防御をした上で対応するのは基本です。
というわけで、クリエイターに必要なのは、住居…いや、住拠と言わせていただきましょう。
いい仕事は、健全な住拠から始まり、健全な住拠で終わります。
とりあえずは大都市に出られれば安くてもいいや、あとは実績積んでいい場所に引っ越そう、と思っても、それ故に苛まれるなど、そううまくいくとは限りません。それよりも、擲つ量を少し増やして、より多くの安定を築いたほうが、何倍もいい仕事ができるかもしれません。