クリエイターを、「食業」に。

サウンドクリエイターとしてフリーで活動する楽曲制作者、NR-Takaの、クリエイター問題に対してあれこれ考え、書き連ねるブログです

勝利の女神があちこちでチュゥしすぎて感動が薄れた話

皆さん、おはようございます。

 

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掲題の通りです。

勝利の女神~とは

今はやりのソシャゲ「ウマ娘」の中に出てくるボーカル曲「ウマぴょい伝説」の一節。

勝利の女神は、あたしだけにチュゥするという歌詞があるのですが…

この一節を見た時、撃ち抜かれるようなインパクトを覚えました。

 勝利の女神が祝福するという表現を「キスする」ならありがちですが、ここを「チュゥする」(チュウする、ではない)と表現するところがストレートでかわいさがにじみ出る表現だなと思いました。

ただ、このフレーズ、非常にインパクトがあるせいか、ツイッターのタイムライン上のあちこちでこの行を見かけることになり、さすがに食傷気味になって初めて見た時の感動も大きく薄れてしまった、というのがセットになっております。

 

おしまい。

 

…終わっちゃダメだ。

話は唐突にドラクエ3の移植版に

実は、PS4移植版ドラゴンクエスト3について、フィールドのBGMに「前奏」が付きました。当然ながら、オリジナルのファミコン版、リメイクのスーパーファミコン版はAメロから直接始まるのですが、この「前奏」オーケストラ演奏版で聴くことができ、勇者が旅立つ光景を想起すると鳥肌ものです。

しかし、これはつまり

町や村やダンジョンを出るたびに前奏から演奏される」ということです。

で、これが一体ウマ娘とどう関係するのか、と言いますと…

オーケストラ版に盛り込まれていた「前奏」を、ゲームプレイ中に何度も耳にするということです。

「だったら、勇者が旅立つときの感動を何度でも味わえるからお得じゃん?」と思うかもしれませんが…何度も耳にするからこそ、慣れてしまって感動が薄れてしまうということになるのです。

 

後に、勇者一行は、大空を飛ぶ伝説の巨鳥ラーミアを復活させ、その背に乗り飛び立つシーンがあるのですが、ゲーム中ではラーミア復活直後にフィールドに出ると、フィールドの音楽の再生が意図的に遅くされています。これは、ラーミアに乗り込む前にフィールドBGMが流れると、フィールドBGMをぶった切ってラーミアのテーマが流れるという、初の感動をぶち壊しにしかねないため、それを避けるための演出といえるでしょう。

それと同じように、勇者一行が最初の町、アリアハンを出た時だけとか、もしくはゲーム起動直後最初のフィールドBGMだけ前奏を再生するとかに留めておけば、あの「前奏」の感動も薄れずに済んだかもしれません。

 

というわけで、この記事で言いたかったことは

「感動的な物事も、乱用しすぎるとその価値が薄れる」

ということです。

楽曲制作とか物語を作るとか、ここぞという表現があるのであれば、ここぞという時までとっておくこともまた、戦術のうちだと思います。牛めしかつ丼も、具材とごはんとタレのバランスがあって、初めてその料理の味わいを成すのと同じです。